長沼選手(高田高)インターハイで金メダル、やり投げで悲願の優勝

▲ 晃一監督と握手を交わす長沼選手

 全国高総体(インターハイ)の陸上競技は7月29日から今月2日まで、和歌山県和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で行われ、県立高田高校の長沼元選手(3年)がやり投げで金メダルを獲得する快挙を達成した。本県勢が男子投てき種目で頂点に立ったのは、昭和49年以来41年ぶり。長沼選手は今回の優勝を励みとして、今後のさらなる飛躍を誓っている。

 

 県勢では41年ぶりの快挙

 

 長沼選手は、県高総体で1位、東北高総体では岩手県高校新記録を塗り替える67㍍97の自己ベストをたたき出して優勝し、全国切符を手にした。
 インターハイの男子やり投げには、全国11ブロックの予選を勝ち抜いた66人が出場。33人ずつ2組に分かれての予選と、予選を突破した12人による決勝で順位を競った。
 予選は、3投のうち62㍍00を超えた選手が決勝へ進んだ。長沼選手は「1投目で予選を突破する予定だったが、緊張してしまっていた」と、2投目まで記録が伸びず、ラスト1投を迎えた。
 父・晃一監督から「表情が固くなっている。笑顔で」と言葉をかけられ、「我に返ることができた」という長沼選手。投じたやりは62㍍を超え、65㍍18を記録して予選を通過した。
 長沼選手は、以前から大舞台でのメンタル面の弱さを自認してきた。過去に出場した全国規模の大会では予選で姿を消している。
 直前にコロンビアで開催された世界ユース陸上競技選手権大会には日本代表として出場したが予選敗退。その悔しさもインターハイにぶつけた。帰国後、自宅で座禅を行うなどして集中力を高める取り組みも重ねてきた。
 「固くなって上半身に力が入っていたが、決勝ではリラックスして、体重を乗せることができた」といい、決勝では2投目に66㍍75の記録を出して優勝。
 自己ベストではなかったものの、「大きな大会に弱いという自分に勝てた。壁を越えられた」と、全国大会初入賞は優勝という形で掴み取った。
 全国優勝という快挙について「自分は仲間にも恵まれた。優勝できたのは、監督や母など、本当にいろんな人の支えがあったから。結果で恩返しができたかなと思う」と周囲への感謝を口にした。
 自身も72㍍28という県記録を持つ晃一監督は「入賞を目標にしてきて、プレッシャーに打ち勝ち優勝できたのは素直にうれしい。今後も大会が続くので、自己記録が出るよう頑張ってほしい。やればできる、という勇気を発信できたのかなと思う」と息子をたたえた。
 長沼選手は今後、22日から韓国で行われる日韓中ジュニア交流競技会や10月の和歌山国体にも出場する。「父の記録は通過点。70㍍後半を投げないとシニアでは戦えないので、次は70㍍を超して優勝したい」と気合い十分だ。