2015住田町議選/告示まであと4日、山積する課題どう対応

 木工団地の償還金問題も

 

 任期満了に伴う住田町議会議員選挙(定数12)は、22日(火)の告示まであと4日に迫った。現時点で立候補を表明しているのは現職11人、新人1人の合計12人で、このほかに新たな候補の擁立は見られず、初の「無投票」となる可能性が色濃くなってきた。平成27年度、町では重要課題の対策を図り、今後のまちづくりを進めるための「町総合計画・人口ビジョン・総合戦略」の策定に向けた協議が進む。また、経営再建のために公的融資を受けた木工団地2組合の償還金問題もその動向が注視されている。町にとって重要な局面を迎える中、いくつかの課題を探った。

 

 二つの大命題

 

 町は国のまち・ひと・しごと創生法に基づき、本年度に「まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定する計画。28年度から4年間の町総合計画も策定し、これらを一つにして今後のまちづくりを進めようとしている。この中では人口減対策と町民の所得向上対策を町勢振興の大命題に掲げ、各種施策を構築、推進する考えだ。

 町の人口は昭和30年の1万3121人をピークに、減少の一途をたどっている。61年以降は本格的な〝人口減少期〟に突入し、平成22年の国勢調査では6190人に落ち込んだ。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、同52年には3211人にまで減少し、高齢化率は46・2%に上昇する見込み。

 急激な人口減少が進むと、日常的なサービスの提供が身の回りから減少して生活が不便になり、さらなる人口減少につながりかねない。さらに地域内の経済、医療・福祉・介護、学校教育や文化継承、公共交通、コミュニティー、行財政と各分野に影響が及ぶおそれがある。

 町民所得の低迷も続いている。県の24年度市町村民所得推計の概要によると、町民1人当たりの平均所得額は190万7000円。県平均255万3000円とは、64万6000円もの開きがある。

 所得低迷の理由には、人口減少や少子高齢化、主要産業である一次産業の担い手不足、産業基盤の弱体化などが考えられる。町が6月、15歳以上50歳未満の町民に実施したまちづくりのアンケート(回答者1111人)では22・4%が「町外に引っ越したい」と答え、このうち19・7%が「町内に仕事がない」を理由に挙げた。町の雇用対策には45・1%が「(どちらかといえば)不満」と回答した。

 町は人口・所得向上に向け、基本目標、基本的方向、具体的な施策と重要業績評価指標を定める「すみタクティクス(住田型総合戦略)」を作成中。子ども・子育て世代や定住・移住者などの増加対策、交流人口の拡大と経済活性化を誘発する中心地域活性化プロジェクト、産業と就業環境の創出などを目指す食いく、木いくの両プロジェクトなどの各種施策を打ち出し、取り組んでいく考えだ。

 将来、住田町が目指すべき姿とは。議員自身もその姿を描き、新たなまちづくりに向けて積極的に発信する必要がある。

 

 経営再建の道筋は

 

 平成19年に経営危機が判明し、町から約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進める木材加工団地内の三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)。26年度から約3100万円を町へ償還する計画だったが、初年度分の償還金は支払われていないままだ。

 融資の償還計画は当初「23年からの12カ年」。しかし、24年に経営基盤の安定強化を見据え「年度当たり約3100万円を26年度から25カ年」へ変更した。

 だが、26年度は消費増税による駆け込み需要後の受注量激減などにより、純利益で三木が6493万円余、ランバーが1億4600万円余の赤字を計上。その結果、初年度分の償還最終期限となる今年5月末までに支払いはできず、いまだそのめどは立っていない。

 先月開かれた町議会9月定例会の一般質問で、多田欣一町長は「町に返済してもらうためにも、返済に必要な原資の確保のため、経営の再建、安定化に向けて支援を行っているところ。両組合としても現在、それに向けた新たな生産、経営体制の構築を進めており、町としては返済金等の回収を図っていきたい」と、両組合の現状と町の方針を説明。

 その際、町民への説明機会に関しては、両組合が償還できる新たな経営体制の方針が固まるのを機に設ける考えを示した。しかし、その時期は明確にはなっていない。議会には町民が納得できる形で償還金見通しを導き出すとともに、地元林業振興とも連動した経営改善の道筋を示すよう、議論をけん引していく姿勢が求められる。