“いのち”の輝き胸打つ、星野さんの「花の詩画展」/26日までリアスHで(別写真あり)
平成27年9月20日付 7面

「三陸 星野富弘 花の詩画展」が19日、大船渡市盛町の市民文化会館リアスホール・マルチスペースで始まった。生き生きと咲く草花や身近な鳥の姿など、星野さんが描くありのままの〝いのち〟は、じんわりと静かな感動をもたらす。会期は26日(土)まで。入場無料で、主催者は「一人でも多くの方にご覧いただきたい」と市内外からの観覧を呼びかける。
苦難の受容から作品生まれ
星野さんは昭和21年、群馬県生まれ。24歳の時、赴任先の中学校で頸椎(けいつい)を損傷し、首から下の自由を失った。しかし筆を口にくわえて文や絵を描き始め、入院中に初の作品展も開催。みずみずしく描かれた四季の花々に、普遍的で気取りのない言葉を添える「花の詩画家」として愛され、今なお作品を生み続ける。
同展は「三陸 星野富弘 花の詩画展を開く会」(近藤愛哉委員長)が「詩画の鑑賞を通じて、三陸の人々に生きる力を見いだしてほしい」と企画。東日本大震災の被災地では初開催となる。実施には、東北へ思いを寄せ続ける星野さんの大きな後押しもあった。
今回展示されるのは、群馬県みどり市にある「富弘美術館」の収蔵作品およそ90点で、同展のため星野さん自身が選んだ。大きな事故に遭いながら、草花の美しさ・たくましさに勇気を与えられ、「いのちの恵み」や「生きることの意味」と向き合う星野さん。その作品群は、苦境を知る人々の心をまっすぐに打つ。
「何のために 生きているのだろう 何を喜びとしたらいいのだろう これから どうなるのだろう」。『ニセアカシア』と題された30年以上前の詩画は、こんな一節から始まる。だが星野さんは構えず、飾らず、置かれた

会場では画集なども販売。自宅でもじっくり作品を眺められる
状況を受け入れ、心の奥から自然にあふれ出た言葉を続ける。
それらの多くは、震災でさまざまな思いを経験した人々に強い共感を呼び起こす。会場では「わたしは傷を持っている でもその傷のところから あなたのやさしさがしみてくる」といった詩画の前で、長く立ち止まる人の姿も見られた。
実行委員長の近藤さん(38)=盛岡聖書バプテスト教会牧師=は「足早に通り過ぎてしまうのはもったいないくらい、一枚一枚に込められたメッセージは胸に迫るものがある。作品をご覧になった方が、きっと力づけられるであろうことを我々も確信している」と話し、市内のみならず近隣の市町村からも来場を呼びかけている。
開催時間は午前9時から午後6時(最終日は5時。入場は終了時刻の30分前まで)。会場には星野さんの半生を紹介するドキュメント番組の放映、作品集や便せんといったグッズ販売コーナーも設けられている。22日(火)はリアスホールが休館となるため注意を。