やり投げの長沼選手(高田高)が県新記録で国体制す、IHに続く優勝で高校2冠
平成27年10月11日付 6面

第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」第10日は5日、和歌山県内で行われ、陸上競技少年男子Aやり投げで県立高田高校の長沼元選手(3年)が優勝した。県記録、県高校記録を更新する73㍍28の成績で、8月のインターハイに引き続き2度目の全国制覇。長沼選手は高校2冠達成に喜びをみせながらも、さらなる記録向上や来年のいわて国体入賞へ向けて気合い十分だ。
〝父親超え〟の73㍍28で優勝
2位に5㍍以上の差を付ける73㍍超えの投てき。1投目に69㍍19で自己ベストを更新すると、3投目には県記録を上回る72㍍69、5投目にはさらに飛距離を伸ばして73㍍28をマークした。
父で監督の晃一さん(51)が持つ県記録を24年ぶりに破ったことに「こんなに早く抜けるとは思ってもみなかった」としながらも「父の記録を超えられたのは、父と一緒にトレーニングしたり、技術を教わったおかげ」と感謝を示した。

凱旋し、生徒たちに祝福されて笑顔をみせる長沼選手=県立高田高校
インターハイ優勝後、筋力トレーニングではなく技術面の練習に励み、フォーム修正に取り組んだ。左足をつくタイミングや右の腰を出すタイミングを調整、腕の使い方も変え、ヤリを高い位置で放すようにしたという。
大会1週間前からはヤリを投げない独自の調整法で迎えた本番。体もフィールドのコンディションもよかったといい、低めの角度で放たれたヤリは向かい風に乗って伸びていき74㍍の大会記録に迫る73㍍超えのビッグスローとなった。
長沼選手は「ほかのライバルたちに比べて環境はよくない方だと思うが、自分が頑張ることで高田に元気を与えられたと思う。このような結果を出せてうれしい」と喜びを口にする。
晃一監督は「今年は66〜67㍍をコンスタントに投げていたので、70㍍は行くと思っていた。73㍍というのは予想以上だが、自分の記録を超えてもらって素直にうれしい」と笑顔をみせた。
来年は本県を会場とする「いわて国体」が開かれる。長沼選手は大学生となっているためシニアの部での出場となるが、「8位入賞を目指したい」と力を込めた。
また、2020年の東京オリンピックへ向けて、「大学中に80㍍以上投げて、東京オリンピックに出るためにトレーニングを積んでいきたい」と目標を掲げている。
9日には同校で優勝報告会が開かれ、生徒たちが長沼選手の国体制覇を祝福。横田昭彦校長は「大震災を乗り越え、被災地の方々に力をもたらした、競技に対する姿勢もまじめで貪欲、東京オリンピック出場という次の目標を見据えている」などと長沼選手をたたえた。
長沼選手の大会報告に続き、晃一監督が「日々の生活、努力を知っている。それが結果につながった。このような結果を残せたことをうれしく思う。新校舎が完成した年に結果を残せてよかった」と述べた。
長沼選手は、16日から愛知県で開催される日本ジュニア陸上競技選手権にも出場する。