西村ピアノ教室に通う古澤君(越喜来小1年)が全国大会へ、クラシック音楽コンクール/大船渡

▲ 全国大会に出場する古澤君(手前)と指導者の西村さん=三陸町越喜来

 一般社団法人・日本クラシック音楽協会が運営する日本クラシック音楽コンクール・岩手地区本選は14日、盛岡市の市民文化ホールで開催され、大船渡市三陸町越喜来の西村元希ピアノ教室に通う古澤蒼大(そうた)君(越喜来小1年)が、ピアノ部門で全国大会(12月28日、東京都・杉並公会堂)への切符を獲得した。師の西村さんや家族の祝福を受け、古澤君は「全国でも楽しく曲を弾きたい」と意欲をみせる。
 同コンクールは全国主要コンクールの一つ。幼児から一般まで8部の区分があり、部門もピアノや声楽をはじめ各楽器別にエントリーできる。
 8月の予選を経て本選へ出場した古澤君は、ストリーボックの『すみれ』とブルグミュラーの『バラード』を演奏。初出場のステージでありながら落ち着いた演奏をみせ、審査の結果、見事優秀賞に輝き、全国大会への推薦を受けた。
 古澤君がピアノを始めたのは昨年春から。越喜来崎浜にある同市出身のピアニスト・西村さんのピアノ教室で基礎から習い始め、約1年半という短かい期間でコンクールに出場できる実力をつけた。
 古澤君には大会出場を応援してくれていた曽祖母がいたが、予選から本選を迎えるまでの間に病気で亡くなった。本選当日、古澤君は「空にいるひいおばあちゃんにも音が聞こえるように」という気持ちで弾いたといい、翌日の四十九日には約束の「全国出場」を報告した。
 同コンクールで全国大会に出場できるのは、岩手など各地区の予選、本選を勝ち抜き、審査員から技量を認められ推薦を受けた人のみ。推薦を受ける出場者がいない年もあるという。
 西村さんは「全国に行けるということもすごいが、沿岸地域で、さらに震災後の復興の最中で音楽環境が整っていない中、今回の結果を出せたことはまさに快挙。古澤君の日々の練習もそうだが、家族の支えも大きい」と語る。西村さんの生徒のシュヴァムボルン魁君(盛岡上田小4年)も全国行きが決まり、2人の結果に「自分がタイトルをとったとき以上にうれしい。首都圏の子どもたちと互角以上のレベルに引き上げられれば」と指導への熱意をみせた。
 全国大会では、5位までに賞状が授与される。古澤君は「全国大会では曲にのって楽しく弾きたい。3位以上を目指したい」と目標を高く掲げていた。