待望の校舎着工へ、高台移転の赤崎小・中学校/大船渡
平成27年10月20日付 1面

現地で安全祈願祭、来年12月の完成目指す
東日本大震災で被災した大船渡市の赤崎小・中学校の移転改築工事の安全祈願祭は19日、赤崎中移転先の高台で開かれ、出席者らが待望の校舎着工を喜び合った。両校ともに校舎は来年12月の完成、平成29年1月の開校を目指す。
両校の施工者主催の安全祈願祭には、発注者の市や学校関係者ら約60人が出席。神事では玉ぐし奉てんや鍬入れなどを行い、工事の安全を祈った。
神事後、戸田公明市長は「校舎の建設がいよいよ始まる。地域の皆さんが心待ちにしているもので、子どもたちの安全を守る学校ができることを期待している」とあいさつした。
震災の津波で大きな被害を受けた両校。赤崎小は同じ赤崎町内にある蛸ノ浦小で合同の学校生活を送っており、赤崎中は大船渡中校舎を間借りしたのち赤崎町に仮設校舎を設けて学んでいる。
市は、両校いずれも被災校舎隣接地の高台に移転改築することとし、教委が地元団体の代表者やPTAでつくる赤崎小・中学校建設委員会と整備のあり方について協議を重ね、実施設計などをまとめてきた。

赤崎中の新校舎が建設される高台=赤崎町
この間、計画位置の変更や用地取得などに不測の日数を要したとして、教委では昨年12月にスケジュール見直しを発表。開校時期については、当初計画より9カ月延長の29年1月になると見通しを改めた。
新たな小学校は、被災前校舎よりも25㍍ほど高いT・P(東京湾中等潮位)28㍍地点に建設される。木造・鉄筋コンクリート造2階建ての延べ床面積は約4500平方㍍。屋外プールも整備される。設計・工事監理は㈱梓設計、施工は戸田建設・匠建設特定共同企業体が請け負う。

造成工事が進む赤崎町小学校の建設予定地=同
一方、中学校はT・P20㍍地点に整備。木造・鉄筋コンクリート・鉄骨造2階建ての約5500平方㍍。設計は梓設計、施工は鉄建建設㈱・㈱明和土木特定共同企業体。校舎新築工事は盛り土を行っているグラウンドの造成工事と並行して進められる。
同建設委員会の吉田忠雄会長(74)は「地元の子どもたちは次世代を担う大切な存在。安心できる高台に小中学校があるというのは我々にとっても重要な意味をなす。予定通り工事が進んでほしい」と願いを込めた。