県立高校再編めぐり、大船渡で第3回地域検討会議
平成27年10月27日付 7面

「可能な限り維持」に評価
県教委による「今後の県立高校に関する地域検討会議」は26日、大船渡市猪川町の県大船渡地区合同庁舎で開かれた。「新たな高校再編計画」(仮称)の策定に向け県内各地で開いているもので、同日は気仙2市1町の首長はじめ教育や産業分野の関係者が出席。県教委は「ブロックに設置された学科は可能な限り維持できるような再編を基本として検討を進める」との姿勢を示し、地元側からはこれを評価する声も上がった。
県教委では新再編計画の指針となる「今後の高校教育の基本的方向」を今年4月に改訂。地域検討会議は、これをもとに地域の実情を踏まえた学校のあるべき姿を探り、おおむね10年を見通した再編計画に反映させようとの狙い。
春、夏に続いて3巡目で、22日の両磐地区から始まり、気仙地区は県内3番目の開催。戸田公明大船渡市長、多田欣一住田町長、長谷部智久陸前高田市副市長はじめ、各市町教育長、商工団体やPTA、地区中学校長会の代表者15人が出席。県教委からは川上圭一教育次長らが臨んだ。
県教委の推計では、気仙地区の高校入学者(全日制のみ)は26年度末時点の4校計550人から、33年度末で397人、38年度末時点で352人まで減少。高校標準法にある1学級40人定員でみた場合、学級数は現状の4校合わせて16から、およそ9に減るとする。
この中、「基本的方向」では、学級定員について「高校標準法における40人」、学校規模は「1学年4~6学級程度」を基本としつつも、これまでの検討会議では地域実情も踏まえ、規模的要件のみでは再編対象にはしない方針を提示。気仙ブロックではこれも受けて、進学と就職のいずれにも対応できる現在の4校体制維持を改めて要望する声が多く上がっていた。
この日、県教委では7月に県内165中学校の3年生を対象に実施した進路希望などにかかるアンケート結果を紹介。全日制公立高校への進学を希望する理由として、「地元の学校だから」が気仙は県内全般に比べおよそ倍の20・9%、普通科希望が県全般48・6%に比べ59・8%と高いことを示した。
その上で、ブロックに設置された学科は可能な限り維持できるような再編を基本として検討を進めるとしたうえ、「ただし、定員を大幅に割り込んでいる専門学科については、地域ニーズも踏まえつつ見直しなどを実施する」と方針を提示。
前再編計画にあった統合基準を見直す考えも説明。前計画の基準では住田高校が該当する1学級校は分校とする取り扱いだったが、「地域が希望しない限り分校化はしない」などとした。
多田住田町長は「県北沿岸や中山間地域の実情をよくとらえた内容だ」と評価。
一方で、希望者数が少ない専門学科には現状維持の厳しさも垣間見え、ほかの委員からは「学級数は減ったとしても現在の選択肢が保てるよう検討が必要」といった提言も聞かれた。
県教委では同日夜、大船渡高校で住民対象の意見交換会も開催。各地で出された意見も踏まえ、年内に新計画案をまとめてパブリックコメントなどを行い、年度内に成案化させる予定という。