総合計画の土台まとまる、基本構想見直しと後期計画案/大船渡市

▲ 総合計画基本構想と後期基本計画の両案を了承した審議会=大船渡市役所

 大船渡市総合計画審議会(会長・齊藤俊明大船渡商工会議所会頭)は11日、市役所で開かれた。これまで検討を重ねてきた同計画基本構想(平成23~32年度)の見直し案と、同計画後期基本計画(28~32年度)の案について了承し、近く戸田公明市長に対して答申することを決めた。案では震災後の状況変化を踏まえ、人口減少への歯止めを目的とする「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を重点プロジェクトとして位置付けるなどし、将来都市像「ともに創る 三陸の地に輝く躍動するまち 大船渡」実現への協働を呼びかける。

 

審議会が了承、答申へ

 

 同審議会の委員は各種団体代表者や知識経験者、公募など19人。昨年7月に基本構想見直しと後期基本計画策定にかかる戸田公明市長の諮問を受け、市民意識調査やワークショップ、地区懇談会などの結果も踏まえながら検討を重ねてきた。

 5回目の開催となった同日は委員12人が出席。事務局の企画調整課から前回までの協議内容を反映させた最終案について説明を受けた。

 基本構想案は8章立て。将来都市像の文言を変更せず、人口・世帯数や産業の推移は震災後のデータを反映させ、復旧・復興事業の進ちょく状況を新たに掲載した。

 施策大綱として「豊かな市民生活を実現する産業の振興」を筆頭に7項目を盛り込んだほか、新たに重点プロジェクトとして「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を位置付け、移住・交流の促進や起業支援、安心して出産や子育てができる環境づくりなどへ取り組むこととしている。

 一方、後期基本計画案では施策大綱に即した基本事業を掲載し、

計画最終年度までの成果指標や目標値も設定。水産業純生産額(市民所得推計)は26年度の25億2415万円に対して32年度は43億1790万円、観光客入り込み数では26年度の112万人に対して32年度は120万人、市民意識調査で「安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる環境である」と答えた市民の割合は26年度の25・2%に対して40・0%を掲げる。

 委員からは、被災農地復旧後の地力増進への支援や放射性物質早期除染の対策などを盛り込むよう求めがあった。案そのものへの反対意見はなく了承。13日締め切りのパブリックコメント結果、今月中に予定される市議会への説明といった市の手順を経たのち、市長に答申することも申し合わせた。

 答申の際は、▽計画の趣旨や内容の周知に努め、将来都市像実現に向けて市民、企業、行政などが情報共有しながら協働のまちづくりを進める▽復旧・復興を加速させるため、復興計画登載事業の着実な推進を図る▽人口減少に歯止めをかけ、持続可能な地域づくりに資するため、重点プロジェクト(総合戦略)を積極的に推進する▽各施策や事務事業の選択と集中を徹底し、健全財政を維持するため、簡素で効率的な行財政運営を推進する──などと、付帯意見も添えることも決めた。

 市では審議会の答申を踏まえ、市議会12月定例会に最終案をはかることとしている。