本当に「住みたい町」は?、住民らが意見交換、総合戦略ワークショップ/住田町

▲ 「住みたい町」にするためのアイデアなどを出し合ったワークショップ=生活改善センター

 住田町の「総合戦略ワークショップ」は10日夜、生活改善センターで開かれた。町の総合計画・人口ビジョン・総合戦略推進委員会のメンバーや町内の各種団体、学校などから住民らが参加し、「本当に『住みたい町』にするには」をテーマに意見を交換。町の良さや〝住みたくない町〟と思われる原因を探り、住民参加によるまちづくりのあり方を探った。

 町は国のまち・ひと・しごと創生法に基づき、平成27年度に「まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定する計画。加えて28年度から4年間の町総合計画も策定し、これらを一つにして今後のまちづくりを進めていくとしており、住民代表らによる推進委での協議、15歳(高校生)から50歳未満の町民に対するアンケート調査などに取り組んでいる。

 ワークショップも策定に向けた取り組みの一環。総合戦略を策定していく過程の中で多くの町民がかかわることでまちづくりへの意識醸成を図るとともに、アンケート結果で約4割が住田町を「住みにくい町」と答えた原因、住みたい町にするためのアイデアなどを考える場にと初めて開いた。

 この日は推進委メンバーをはじめ、町婦人団体連絡協議会、町商工会、民生児童委員協議会、町内5地区の公民館や地域づくり組織、学校の関係者ら26人が出席。多田欣一町長や町の幹部職員らも参加した。

 多田町長、推進委の大杉覚委員長(首都大学東京大学院教授)によるあいさつに続き、「本当に『住みたい町』にする~『住みたくない町』返上作戦~」をテーマにワークショップを展開。町からは地方創生の動きや今後の人口見通し、町人口ビジョン・総合戦略の方向性、住民アンケートの結果などが示された。

 続いて、住田を拠点に活動する一般社団法人・邑サポートの奈良朋彦代表理事が「長期滞在で感じた住田の魅力~LOVE SUMITA~」として、外部から見た住田の魅力を発表。自然や歴史、文化、コミュニティーなど、地域住民には気づきにくい良さも交えながら紹介した。

 これらを踏まえ、ディスカッションでは参加者らが五つのグループに分かれて意見を交換。「私にとっての『住田い町』」と「『住みたくない町』といわれる原因とその対策」を巡って協議を図った。

 参加者らはそれぞれの立場から住田の魅力、課題を見つめ、積極的に発言。住田の良さには、豊かな自然や人の温かさ、沿岸や内陸部にアクセスしやすい位置にあるなどの声が寄せられた。

 一方、住みたくない町という現状に対しては、特に仕事の問題に関心が集まった。参加者からは「技術(手に職があること)は住田で暮らす武器になる」「土地柄が人をつないでいく」「素晴らしい地域をつくれば、仕事や医療といった課題の解消があとからついてくる」などの意見が出された。

 協議後は、グループごとにその内容を発表。さらに考えを深めた上で、参加者一人ひとりが「『住みたくない町』を返上し、『住みたい町』にするために」と題し、自らの決意を語った。

 参加者らは「自分たちのいいところや物を楽しみ、発信をしたい」「地域の魅力や良さを伝えていきたい」「楽しいと思うことを続け、発信していきたい」「感動したことを言葉にしていきたい」「夢を持つ努力をする」などと発表。〝住田い町〟を目指して、積極的にまちづくりにかかわっていく必要性を感じ取っていた。

 町では今後、地区ごとに総合戦略に関する住民との意見交換会を計画。総合戦略の内容やアンケート結果を示しながら意見を聴取し、住民との協働による地域づくり、計画策定を進めていく。