移動店舗車の運用開始 、廃止した3支店を巡回/JAおおふなと(動画、別写真あり)
平成27年11月20日付 7面
大船渡市農協(JAおおふなと、新沼湧一組合長)による金融移動店舗車の開店式は19日、大船渡市立根町のJAおおふなと旧立根支店前で開かれた。同支店を含む管内の3店舗廃止に伴い、県内沿岸被災地のJAで初めて運用を開始。役職員らが式典を通じ、旧店舗管轄地域における金融サービス機能の低下解消に努めていこうと思いを新たにした。
利便性維持へ出発
開店式には、市農協やJA県信連、農林中央金庫、JA岩手電算センターなどの関係者約30人が出席。
新沼組合長は店舗車導入の背景に触れた上で、「廃止店舗地域の組合員、利用者の利便性悪化を少しでも解消できるよう店舗車の巡回運行をはじめ、今まで以上のサービスアップを目指す」とあいさつした。
立根保育園園児による権現様披露のあと、出席代表者が店舗車の前でテープカットを行った。
式後、店舗車が開店すると次々と組合員らが来店。普通貯金に入金したり、通帳の取引店名や店舗番号を継承店舗に切り替えるなどしていた。
東日本大震災で本支店合わせて12店舗が被災した市農協は、自立再建を果たすため支店再編を盛り込んだ経営計画を策定。今月14日には第1次再編として立根、吉浜、広田各支店を廃止し、12支店体制となった。
金融移動店舗車の運用は、奥州市のJA岩手ふるさとに次いで県内2例目。2㌧トラックの荷台部分を業務スペースに改装し、原則、窓口担当者、運転者、渉外担当者の3人で対応する。
取り扱う業務は、普通貯金の入出金、通帳の記帳、税金・公共料金の支払いといった信用事業のほか、購買、共済事業。停電や災害発生時には臨時店舗として運行する。地域でのイベントでローンなどに関する相談会を開催する際にも活用する。
巡回するのは、毎週水曜日午後1時〜同3時ごろまで旧広田、木曜日午前9時30分〜同11時30分ごろまで旧吉浜、同午後1時〜同3時ごろまで旧立根各支店。
29年度中には第2次再編を行い、大船渡、猪川、三陸、高田、竹駒、世田米の6支店に集約され、以降、同店舗車が閉店した地域を週に1度まわることとしている。
立根町の組合員・金野多喜男さん(78)は「支店が無くなり、不便になったのは間違いない。高齢で、ほかの店舗に自動車で行くのも大変なので、移動店舗車が来てくれるのはありがたい」と話していた。