「木」による人材育成評価、世中にものづくり日本大賞・文部科学大臣賞/住田

▲ 木工製作などの長きにわたる取り組みが認められ、ものづくり日本大賞文部科学大臣賞を受賞した世田米中学校
全校生徒と保護者らに受賞を報告=世田米中

全校生徒と保護者らに受賞を報告=世田米中

 住田町立世田米中学校(松高正俊校長、生徒78人)は19日、ものづくりに携わる人材や団体などを表彰する第6回ものづくり日本大賞で文部科学大臣賞を受賞した。木工製作技術の向上を図る特設木工部の取り組みや町木工工作コンクールへの応募、森林環境学習の推進など、長年にわたる「木」による人材育成が高く評価されたもの。生徒や保護者らには21日に受賞の報告がなされ、全員でこの栄誉を祝福するとともに、地域とともに代々受け継がれてきた世田米中独自の文化を今後もつないでいこうと誓い合った。

 

長年の取り組みたたえ

 

 ものづくり日本大賞は、日本の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」に携わる人材のうち、特に優秀な成果を成し得た個人、団体の功績をたたえるもので、平成17年度に創設。その後は2年に一度開催している。

 経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携して実施。①産業・社会を支えるものづくり②文化を支えるものづくり③ものづくりを支える高度な技能④ものづくりの将来を担う高度な技術・技能──の4分野に分かれる。文科省では②と④に関係しており、第2回から④の分野でものづくり人材育成に顕著な功績を収めた学校(中学校、高校、中等教育学校)、生徒を表彰する「青少年部門(内閣総理大臣賞)」や「青少年支援部門(文部科学大臣賞)」を設けている。

 このうち、青少年支援部門は、各都道府県などから推薦された学校から選考委員会が審査。今回は、世田米中と宮城県工業高等学校の2校が選ばれた。中学校の受賞は史上2校目となる。

 世田米中は「森林・林業日本一の町づくり」を目指す住田町にあって、関係機関と連携し、ものづくり(木工作品)の実践的な技術の向上を図る教育活動を展開。長年にわたる取り組みが認められた。

 ▽特設木工部の取り組み▽木工工作コンクールへの取り組み▽町教育委員会と連携した森林環境学習の推進──を通じ、木工製作技術の向上を図っているのをはじめ、手先の技術を身に付け、木材や林業の重要性を感じるとともに、林業の保護、持続可能な社会の構築などについて学びを深めている。全国児童・木工工作コンクールでは、出品作が文部科学大臣表彰を受賞するなどの成果を残している。

 19日には松高校長が東京の文科省に赴き、賞状やメダルなどを受領。生徒や保護者らには21日の授業参観に合わせ、報告の場が用意された。

 体育館に集まった全校生徒、保護者らに対し、松高校長は「ものすごい賞をいただいた」と受賞を発表。教職員らが祝福のクラッカーを鳴らし、「文部科学大臣賞受賞」の垂れ幕を広げた。その後、松高校長から前生徒会長の佐々木妃佳里さん(3年)に賞状やメダルが手渡されると、生徒たちは笑顔で拍手し、今回の栄誉を改めて喜んだ。

 佐々木さんは「先輩方から代々受け継がれてきた伝統でこのように大きな賞をもらうことができ、とてもうれしい」とニッコリ。「この賞をもらえたことで、世中が目指す生徒像である〝胸を張って世田米中学校出身です〟と言える生徒に一歩近づいた。この伝統を次の世代へとつないでいってほしい」と、後輩たちの継承活動にも期待を込めた。

 松高校長は「いままでの長い間の取り組みが評価されたと思い、地域のために本当に良かったと思う。学校だけではなく、いろんな部分で地域の方々から支援をいただき、町や教委、先輩方の協力があって、地域全体として世田米中学校がいただいた賞。これを今後の励みにして、来年以降の活動にもつなげていきたい」と話していた。