「地元に帰る」2割満たず、内陸・県外避難者アンケート公表/県

 県は、東日本大震災により県内内陸地区または県外に避難した被災者へのアンケート調査結果をまとめ、公表した。震災前の居住地に戻りたいと回答した被災者は、内陸地区で前年比4・2ポイント減の18・5%、県外で同6・1ポイント減の19・8%とともに2割を下回った。一方、現居住地への定住を希望するのは内陸で同2・4ポイント増の53・1%と半数を超え、県外も同1・8ポイント増の45・0%と5割近くを占め、〝地元離れ〟の意向が明らかとなった。

 

現在地で定住は5割に

 

 調査は、避難者の現況、生活における不安、今後の居住場所の意向や情報ニーズを把握するなどにより被災者支援の充実を図ろうとのもの。平成24年から年1回実施しており、25年度までは内陸・県外それぞれ300世帯を抽出して調査していたが、26年度から全数調査に変更した。

 4回目となった本年度は、内陸1436世帯、県外714世帯の計2150世帯を対象に8~9月に郵送法により調査。内陸821世帯、県外298世帯の計1119世帯(前年比263世帯増)が回答し、回収率は52・0%(同16・6ポイント増)となった。

 結果によると、現在の住居は、みなし仮設住宅の割合が内陸47・4%(同10・7ポイント減)、県外34・2%(同10・1ポイント減)とともに最多。次いで、内陸では「新たに建設・購入した住宅」30・0%(同2・8ポイント増)、県外では「家族・親類・知人宅」20・1%(同3・3ポイント増)、「賃借住宅」20・1%(同5・0ポイント増)が上位となった。

 内陸のみなし仮設住宅の入居者のうち、供与期間終了後について「検討中」が31・6%(同3・1ポイント減)と最多。以下、「引き続き居住」22・9%(同3・1ポイント増)、「災害公営住宅に入居」16・7%(同3・3ポイント増)など。

 今後の居住場所については、地元に戻りたいという避難者のうち、「戻る時期も決めている」と答えたのは内陸5・2%(同0・3ポイント減)、県外3・7%(同0・5ポイント増)にとどまる。「戻る時期は決めていない」は内陸13・3%(同3・9ポイント減)、県外16・1%(同6・6ポイント増)となっている。

 一方、避難先への定住を考えている世帯は内陸で5割超、県外で5割近い結果に。理由(複数回答可)は「利便性が高い」が内陸46・6%(同1・9ポイント減)、県外40・3%(同4・7ポイント減)とともに最多。以下、内陸では「すでに住宅を再建した・再建予定」45・0%(同7・4ポイント減)、「住んでいる場所で仕事をしている」28・7%(同0・1ポイント減)などと続く。

 避難世帯の主たる生計維持者は65歳以上が半数以上。年金・恩給を生活資金に充てているのは、内陸56・9%(同1・5ポイント減)、県外55・7%(同6・1ポイント減)となっている。

 アンケートの自由記載の欄では「内陸に災害公営住宅を建ててほしい。現在のみなし仮設を災害公営住宅として安い家賃で補助してほしい」(内陸避難者)、「盛岡で中古住宅を購入しようと考えていたが、思うようにならず、年金と貯金を切り崩して賃貸住宅で暮らしている」(同)、「一番の不安は持ち家がないこと。震災前の支払いなどが残っているため、資金作りがなかなかできない」(県外避難者)など、今後の資金面のやり繰りに不安を抱える意見がみられた。

 また、「高齢夫婦の年金生活者で、ともに月1~2回通院している。医療費免除を継続してほしい」(内陸避難者)、「健康面で不安がいっぱい。どうしても引きこもりがちになります」(同)との高齢世帯ならではの悩みも挙がっていた。