吉浜道路開通まであと3日、難所改良で波及効果期待/大船渡

 29日(日)に一般供用が開始される「三陸沿岸道路」の吉浜道路(延長3・6㌔)で25日、開通直前の現場が報道関係者に公開された。震災からの復興をけん引する「命の道」として急ピッチで整備が進められ、同規模の道路の工期を半分ほどに短縮して迎える開通。急カーブ、急こう配が続く並行現道、国道45号の交通難所が回避され、安全性や救急搬送の充実など波及効果も期待されそうだ。

 

羅生峠貫く3・6㌔

 

29日に待望の開通を迎える吉浜道路=大船渡市

29日に待望の開通を迎える吉浜道路=大船渡市

 25日は釜石市の国交省東北地方整備局南三陸国道事務所(佐藤和徳所長)の山口満副所長らが現場を案内。吉浜道路南端の三陸インターチェンジ(IC)から北端の吉浜ICまで歩きながら工事の経緯や各種設備などを紹介した。

 三陸沿岸道路は、震災からの早期復興をけん引するリーディングプロジェクトとして整備を進めており、青森県八戸市から宮城県仙台市までの3県沿岸を結ぶ自動車専用道路。総延長359㌔のうち、152㌔が供用済となっている。

 このうち、吉浜道路は供用中の「大船渡三陸道路」から北に延伸し、30年度末完成予定の「吉浜釜石道路」につながる。19年度に新規事業化され、22年度に本格着工した。総事業費は約140億円となっている。

 片側1車線で、越喜来高架橋(延長584㍍)、吉浜トンネル(同1644㍍)、吉浜高架橋(同373㍍)の三つの構造物が全区間の7割強を占めるのが大きな特徴だ。

 同事務所によると、同じ規模の道路整備に要す期間は15年ほど。吉浜道路は工事着手の前提となる用地取得もスムーズに進み、事業着手から約8年、高架橋やトンネルなど道路本体部分の着工から約3年というスピード開通を実現させた。

 並行現道の国道45号は羅生峠があり、同事務所管内でも随一の交通難所。吉浜道路開通により安全性が確保され、重大事故の発生防止につながる。大規模災害時も寸断されず、緊急輸送道路としての活用が見込まれる。

 また、救急搬送のケースが多い県立釜石病院から大船渡病院までの所要時間は、これまでの約59分から5分ほど短縮されて約54分になる。海産物輸送の際の鮮度保持・品質向上、観光地へのアクセス改善による入り込み増などの波及効果も期待されそうだ。

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吉浜道路につながる「吉浜釜石道路」も盛んに工事が進められている=同

 山口副所長は「本格的な冬を前に供用開始を迎えられることとなった。短い期間で完成できたのは、地元の協力のおかげ。多くの住民が快適に利用できるよう開通日まで仕上げに当たる」と力を込めた。

 29日は午前10時から、吉浜IC付近で県と市、東北地方整備局主催の開通式典を開催。

 通行が可能となる一般開放は午後3時からとしている。