高田病院で〝継続〟へ、県医師会診療所(一中敷地内)の心療内科/陸前高田

▲ 4月以降心療内科開設の見通しがついた高田病院=米崎町

 陸前高田市高田町の第一中学校敷地内にある岩手県医師会(石川育成会長)運営の高田診療所が来年3月で閉鎖するのに伴い、米崎町の県立高田病院(田畑潔院長)で4月以降、心療内科が設けられる見通しとなった。診療所に通院していた患者を引き継ぐ形で運営し、住民の不安解消を図る。診療所では皮膚科の患者も多く、同病院での受入体制構築に向けた検討が進んでいる。

 

 本年度末の閉鎖に対応
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 皮膚科の機能拡充も検討

 

 震災前は市内に11医療施設(2病院、9診療所)があった。被災に伴い、たけだ整形外科、村上皮膚科、大町クリニック、たかた駅前クリニックの各診療所が廃業した。
 岩手県医師会は、被災下の医療体制で不足する部分を補おうと、高田診療所を平成23年8月に開設。施設は一中が避難所だった時に日赤救護所が使っていたプレハブ施設に加え、支援を受けて確保したトレーラーハウスなどを用いている。
 一昨年8月以降は水、土、日曜日と祝祭日の診療体制。慢性的な疾患は他病院、診療所を紹介する形をとってきたが、これまで休日には受診者が100人を超えることもあった。震災後とくに重要性が指摘される心の健康保持にも力を入れている。
 気仙薬剤師会所属の薬剤師らが対応する院内調剤体制も構築するなど、関係機関が一丸となって充実を図ってきた。主な診療科ごとの患者数をみると、皮膚科や小児科、心療内科などの受診が目立つ。
 本年度に入り、竹駒町に済生会運営の仮設診療所ができるなど医療面の復旧・復興も少しずつ広がりつつある中、医師会は本年度末での閉鎖を決め、6月に市が表明。一方で医師会では診療終了後も、市への支援として県立高田病院の充実に協力するとしていた。
 閉鎖に伴い不安視されていたのは、月50人程度とされる心療内科に通う患者の対応。開設の見通しについて県立高田病院の田畑院長は「とくに力を尽くしたのは県医師会。石川会長をはじめ陸前高田に対する思いが強く、どれくらいのニーズがあるかを把握し、学会に働きかけていた」と振り返る。
 今月20日、日本心療内科学会総会・学術大会に合わせ盛岡を訪れていた同学会の中井吉英理事長と県医療局や病院、医師会関係者が会談。医師派遣継続の見通しがついた。
 診療日などは今後の調整となるが、学会から派遣の医師が高田病院を訪れることで、診療所を利用していた患者を引き継ぐ形が想定される。田畑院長は「支援をいただき、病院機能を強化できるのであれば大変助かる。これまで診療所を利用していた住民の不安の一つが解消されると言ってもいい」と語る。
 また、皮膚科に関しては現在、高田病院では岩手医大から派遣を受け、週1回午前中の診療となっている。診療所の患者受け入れの観点から、診療体制の拡充に加え、診療所施設で活用されている遠隔医療機器の引き継ぎなどが現在検討されているという。