港の保安へ心一つ、テロリスト侵入想定で訓練/大船渡(別写真あり)

▲ 暴れまわる不審者役を制圧する機動隊員ら=大船渡港・野々田ふ頭

 大船渡市大船渡町の野々田コンテナふ頭で2日、大船渡港保安委員会(委員長・佐々木一彦県大船渡土木センター所長)による保安訓練が行われた。フランスのパリで同時多発テロが発生し、世界各国に衝撃を与えた中、地域の安全を守る関係機関が海上からのテロリスト侵入を想定した訓練を繰り広げた。

 保安委員会は、同港に関係する国・県・市の行政機関や港湾施設利用事業所などで構成。訓練は緊急事態発生時に迅速かつ適切な対応を行う知識と能力を身につけるとともに、各機関の連携強化を図ろうと毎年続けている。震災後はふ頭施設の損傷などを受けて実施を見合わせていたが、一昨年から再開した。

 10回目の訓練となったこの日は、委員会を構成する11機関から合わせて約70人が参加。佐々木委員長が「テロや密漁など厳しい世界情勢となっており、大船渡港が標的となることも考えないといけない。あらゆる事態に対応するため、最も大切な関係機関の連携を深めてほしい」とあいさつした。

 このあと、国交省から大船渡港埠頭保安管理者に「国内でテロ行為が発生するおそれがあるため、保安レベルを1から2に引き上げた」「大船渡港に接岸中の外国貨物船にテロリストが乗船している可能性がある」と情報が入ったと想定し、参加機関による▽警戒措置移行▽船内検索▽避難誘導▽不審者発見拘束▽負傷者救助▽事態収束後の点検──の各訓練が行われた。

 このうち、不審者発見拘束訓練では、機動隊員らが接岸した無人のボートを発見し、不審者が上陸した可能性があるとして周囲を速やかに点検。コンテナターミナル事務所に潜んでいた不審者役を見つけると、ナイフを手に暴れる不審者役をさす又などを使って制圧、身柄を取り押さえた。

 終了後、大船渡港危機管理担当官の吉田良夫大船渡警察署長が「キビキビとした訓練が繰り広げられ心強い。各機関の任務は違うが、いざという場合は任務やエリアを越えて協力し合わないといけない。世界情勢を踏まえつつ、国土、国民を守るという使命を全うするため、鍛錬と相互理解を」と講評した。