新駅のスタート喜び合う、「魚市場前駅」が開業/大船渡線BRT(動画、別写真あり)

▲ くす玉を割って大船渡線BRT「大船渡魚市場前駅」の開業を告げる関係者=大船渡町

 大船渡市大船渡町字永沢地内に整備されたJR大船渡線BRTの「大船渡魚市場前駅」が5日、開業を迎えた。同日は駅などを会場に記念行事が催され、買い物や通院など生活の利便向上と観光誘客へ結び付けようと、設置を求めてきた地元住民や魚市場などの関係者らが待望のスタートを喜び合い、周辺は活気に包まれた。

 

地元要望もとに整備

 

 同駅は、BRT専用道の下船渡駅大船渡駅のほぼ中間に設置。魚市場までは約300㍍ほどの場所で、乗降場とホーム屋根、ベンチ、運行位置などを把握できるロケーションシステムの「駅モニター」などを設けた。

 設置をめぐっては今年3月、地元の永井沢町内会(笹野久雄会長)と大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)が連名で市に要望書を提出。新魚市場の稼働、近隣で進む中心市街地再整備や災害公営住宅建設などによる新たな生活圏形成や交流人口増の見込み、高齢者の移動手段確保への対応として不可欠として行った。

 市では4月にJR東日本盛岡支社(嶋誠治支社長)に地元の要望を伝え、同社は7月末に駅の新設を発表。これまで各種工事が行われ、この日の開業に至った。

 駅には大漁旗が飾られ、午前9時56分着の陸前矢作行き、同1010分着の盛行き両便の運転手に、住民から記念の花束が贈られ、引き続き開業セレモニーを実施。

 住民をはじめ魚市場、市、県、JRなどの関係者約200人が集まった中、嶋支社長は「観光やビジネスでの来訪、地元の皆さんの日常の足として、大いに活用していただきたいと考えている。JRとしても一緒に復興や地域活性化に努めていく」とあいさつ。

 市の佐藤高廣統括監は「まさに水産のまち大船渡の玄関口となるもの。利用促進を図るとともに、周辺の復興まちづくりに努力する」などとした戸田公明市長のメッセージを読み上げた。

 このあと、嶋支社長と佐藤統括監ら出席者代表がくす玉を割って本格開業を告げた。駅隣の広場では、永井沢町内会や魚市場による「感謝の集い」が開かれ、町内会の「大漁節」披露、祝いのもちまき、サンマやフィッシュ&チップスの振る舞いなどが行われ、活気付いた。

 笹野町内会長は「特に高齢者の買い物や通院の足の確保が課題になっており、要望が実って早期に実現したことに深く感謝している。持続させるため盛り上げていきたい」と笑顔。魚市場の佐藤光男専務は「魚市場からわずか1分の駅。多くの人に立ち寄っていただき、観光面の核としても貢献できれば」と話していた。

 

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新駅設置を求めてきた地元の永井沢町内会は「大漁節」の披露などでスタートを喜んだ=大船渡町