償還金 今月から返済予定、三木とランバー 関係者が意向示す/住田町

 平成19年に経営危機が判明し、住田町から約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進める木材加工団地内の三陸木材高次加工協同組合(三木、中川信夫理事長)と協同組合さんりくランバー(ランバー、同理事長)。26年度分の償還金が支払われないままとなっていたが、今月から返済を進める予定であることが15日夜、明らかになった。

 両組合は、同年度から年度当たり約3100万円を町へ償還する計画だった。しかし、初年度は消費増税の影響などを受けて経営が厳しくなり、最終期限の今年5月末までに返済ができず、償還のめどが立たないままとなっていた。この状況などを受け、10月からは新体制による経営に取り組み、再建を図っている。

 返済への意向があった件は、多田欣一町長が同日に五葉地区公民館で開かれた総合戦略策定のための意見交換会の席上で公表。多田町長は町民らに両組合の現状を説明する中で、10月から三木の支配人として経営指導に当たるけせんプレカット事業協同組合の泉田十太郎専務理事から、「12月から償還金を返し始めたい」との話があった旨を報告した。

 泉田専務は16日、東海新報社の取材に対し、「少しずつになるが、12月から返す予定としている」と、満額ではないものの今月から償還金の返済に取り組む考えを示した。財源には、これまで焼却処分としていた材を活用。これらを製品化して販売し、その利益の半分を町への返済に、残る半分は再建のために働く従業員らへ還元したいとしている。

 現在、三木では41人、ランバーでは11人の従業員が勤務。10月1日からは両組合の理事や泉田専務らが中心となった新体制による経営に移った。三木では営業、総務、生産、ランバーでは総務、生産とそれぞれの部署に理事らが3人ずつ担当として入り、一人ひとりが責任を持って経営にかかわっている。

 併せて、生産体制を見直し。確実に利益が出る製品に絞った生産に切り替えたのをはじめ、昼夜2交代制の勤務は昼のみに変更。これまで未使用の時間帯があった機械は操業時間内でフル稼働させるなど、経営そのものはもちろん、従業員の就業意識をより高めるべくてこ入れを図り、再建を進めている。

 泉田専務は「経営状況は本当に厳しいが、残っている従業員たちは再建へ真剣に取り組んでいる。彼らなら再建できるし、その力を生かすのが私の役目。今回の悔しさをバネにできれば、大きく変わる。これまでの姿勢から変えていかなければ」と、理事や従業員らが一丸となって取り組む再建への思いを語る。

 多田町長は両組合が返済への姿勢を示したことに対し、「少なくとも、償還金を返さなければならないとする姿勢が重要。従業員にも還元する件は聞いており、励みになるのであればと了承している。従業員たちが〝頑張れば収入になる〟ということが明確になれば。少なくとも確実に前へ向かって進んでいる」と話している。