力強く「共に生きる」、国内外で活躍する書家・金澤翔子さんが揮毫披露/大船渡で

▲ 力強い筆さばきを披露する翔子さん(手前右)と泰子さん(同右から2人目)=県立福祉の里センター

 金澤翔子支援グループ実行委員会気仙・福幸(渕上清実行委員長)主催の「天才書家 金澤翔子席上揮毫(きごう)・金澤泰子講演会」は19日、大船渡市立根町の県立福祉の里センターで開かれた。国内外で活躍する翔子さんはこの日、力強い筆さばきで「共に生きる」と揮毫。母親の泰子さんは講演で、ダウン症の翔子さんの生い立ちを振り返りながら、生きることの意味や大切さを来場者に伝えた。

 

住田町へ「飛翔」贈呈、母・泰子さんの講演会も

 

 翔子さんは東京都出身。書家の泰子さんに師事し、5歳から書を始めた。

 平成17年に銀座書廊で初めて個展を開き、その後も全国の神社仏閣や海外などを回り個展・揮毫を実施。NHK大河ドラマ「平清盛」の揮毫を担当したことで知られるほか、震災後は岩手県へ被災地復興のロゴとなる書作品を提供したことをはじめ、気仙地方を含む各地に向けた支援も行っている。

 支援グループの福幸は、北上市の金澤翔子支援グループ実行委員会北上・Oniが同市で開いたイベントで、翔子さんの書作品や親子2人の生き様に感銘を受けた気仙地区住民らで構成。地元でのイベント開催への機運が高まり、気仙の200個人・団体からの協賛や、大船渡高、大船渡東高両校生徒の協力を得て実現した。

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住田町に贈呈された作品「飛翔」

 この日は各地から約300人が来場。冒頭、渕上実行委員長は「翔子さんの書から伝わるエネルギーを気仙のみなさんに享受していただいて、明日の活力にしていただければ」とあいさつし、来賓の戸田公明大船渡市長も関係者への感謝を述べてイベント開催を祝福した。

 続いて、渕上実行委員長が多田欣一町長へ、翔子さんの書作品「飛翔」の目録を贈呈。仮設住宅の建設場所提供など、震災後から長きにわたって気仙両市の復興を応援していることへの感謝を表し、多田町長が「大変ありがたい。一日も早い復興を祈念し、みんなでがんばりましょう」と意気込みを語った。

 このあと、翔子さんがステージ前に用意された縦1・2㍍、横1・8㍍の紙に「共に生きる」と揮毫。泰子さんらのサポートを受けながらゆっくりと、力強く筆を動かし大作を完成させると、来場客から盛大な拍手がおくられ和やかな笑顔を浮かべた。

 講話では、泰子さんが翔子さんの生い立ちからこれまでのエピソードを振り返りながら、自分が見つけた〝生きることへの向き合い方〟について来場者へ伝えていた。