実践へのヒント発信、朝田氏と宇野氏講師に認知症予防研修会/陸前高田

▲ 熱心な表情で耳を傾ける出席者=陸前高田

 陸前高田市地域包括支援センターと、陸前高田の在宅療養を支える会(チームけせんの和、石木幹人会長)主催の認知症予防研修会は23日、高田町・市コミュニティホールで開かれた。参加者はさまざまな観点から予防に関する知識を深め、健康保持やすべての住民が暮らしやすい地域社会づくりへの意識を高めた。

 

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朝田氏

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宇野氏

 市内における今年4月1日現在の65歳以上高齢者は7206人。人口比率は35・6%で、前年比で0・9ポイント増加した。町別で最も低いのが高田町の31・4%で、最高は矢作町の40・5%。要介護(要支援)認定者数は1376人となっている。
 チームけせんの和は、市内を中心に地域の在宅医療を支える関係者が集い、連携を図ろうと平成25年2月に発足。市内の医療、歯科、薬局、福祉施設などの各関係者で組織し、同センター内に事務局がある。地域包括ケア充実などに向けた取り組みを研究してきた。
 研修会は「自分ごととしての認知症予防を」をテーマに企画し、約130人が出席。医療、福祉施設関係者だけでなく一般住民も多く、地域全体としての関心の高さをうかがわせた。
 石木会長によるあいさつに続き「災害時の心のケア~うつ病・認知症予防~」として、医療法人社団創知会理事長で医学博士の朝田隆氏が講演。同会運営の認知症専門クリニック「メモリークリニックお茶の水」(東京都)で院長を務めているほか多数のメディア出演を誇る。
 朝田氏は発災から半年以降の視点として、生活困難や将来への不安、周囲からの孤立などを指摘。意識的な働きかけを早期から行っていく取り組みの重要性にふれた。
 また、認知症については全患者の7割が80歳以上で、その8割が女性と解説。高齢による認知症は遺伝の影響が少ないとした上で「これまでの生活の総決算という面が強くなる。それだけに予防の効果が期待できる」と述べた。
 さらに、うつや認知症にならない視点として「してもらうからしてあげる」を挙げ、運動習慣や社会・地域参画、生きがいづくりの大切にも言及した。
 引き続き「認知症予防~被災者支援から地域包括ケアへ~」として筑波大学准教授、日本社会事業大学前専任理事の宇野裕氏が講演。厚生労働省官僚でもあった宇野氏は国や自治体の政策の動きにふれなから、認知症高齢者らにやさしい地域づくりに向けたヒントを発信した。
 終了後は、朝田、宇野、石木各氏による認知症予防や改善をテーマとした対談も。出席者は実践につなげようと熱心な表情を見せていた。