川向工区が本格着工、各地で河道掘削進む/気仙川・大股川の河川改修

▲ 河道掘削作業が始まった気仙川の川向工区(新すみた荘付近)=住田町世田米

 住田町と陸前高田市を流れる気仙川、大股川の河川改修事業に取り組む県は、25日現在の進ちょく状況を示した。現在、流域では過去の大雨などで浸水被害が生じた個所から優先的に安全を確保するため、河道掘削や整備に向けた測量設計などを実施中。気仙川の同町川向工区(新すみた荘前)では同日、護岸や堤防の整備に先駆けて河道掘削作業が本格着工した。
 県は平成23年の東日本大震災を受け、ダムと河川改修の組み合わせで進めてきた気仙川と大股川の治水対策を見直し。被災した下流域の復旧復興に向けた新たなまちづくりの取り組みなどを踏まえ、河川改修のみが総合的に優位として、昨年7月にダム事業を中止した。
 河川改修事業は、35年度末までに治水安全度30分の1(30年に一度発生する規模の大雨、洪水に対する安全)を確保し、その後は将来目標である安全度70分の1の整備を段階的に行うもの。整備は、気仙川7工区(高田、竹駒、横田、田畑~田谷、火石~川向、川向、清水沢~向川口)と大股川1工区に分けて取り組む。
 現在は、住田町内の気仙川2カ所(川向、火石~川向)と大股川2カ所(川口~小股、小股~高屋敷)で測量設計を実施中。気仙川流域は来年2月、大股川は同3月までを予定する。火石~川向工区(整備延長=左岸約0・9㌔、右岸約0・3㌔)内の住田フーズ付近は、2月をめどに住民へ工事の詳細を説明する場を設け、28年度からの工事を計画する。
 川向工区(整備延長=左岸約1・0㌔、右岸約1・6㌔)は、新すみた荘前の工事を優先。測量設計や関係者に対する設計内容などの説明を経て、今月25日に新すみた荘付近(美土里橋下流部)で河道掘削が着工した。県では用地交渉を進め、用地が決まった一定区間から年度内には護岸、堤防の工事に着手したいとしている。
 河道掘削は、治水安全度18分の1(24年7月の豪雨被害に相当)の確保が目的。新すみた荘付近のほか、大股川は折壁橋付近、気仙川は住田町川向の清水橋下流区間、中沢川との合流付近、陸前高田市横田町の小坪橋下流、矢作町の矢作川・金平橋下流付近、同川・桝内沢との合流点付近で実施する。
 川魚の生息環境などに配慮して冬期間のみ行うもので、10月から順次着工。来年3月までに終える予定。陸前高田市内の3カ所では、砂利採取も兼ねた掘削となる。
 同事務所の高橋正博所長は「浸水地域は早期に工事着手し、災害防止に努めていきたい」と話している。