道の駅「さんりく」誘客へ対策練る、吉浜道路開通で
平成27年12月30日付 7面

大船渡市の第三セクター・三陸ふるさと振興㈱(中井昭樹社長)が運営する三陸町越喜来の道の駅「さんりく」。11月に三陸沿岸道路の吉浜道路が開通し、それまで気仙の供用区間北端の三陸インターチェンジ(IC)付近に位置していた同道の駅では「素通りされてしまうのでは」と関係者から不安の声が上がっている。同社は誘客を図る対策を検討しており、道の駅に農産物を出荷している直売組合員も収入維持への取り組みを進めている。
直売組合員も収益確保模索
国道45号沿いの三陸町の玄関口に構える道の駅さんりく。地元でとれた四季折々の魚介類を販売し、直売組合からは野菜や山菜、郷土菓子などが出荷されている。
20年以上、気仙の三陸沿岸道供用区間の北端となっていた三陸IC近くという好立地も相まって、地域内外から多くの住民が利用。震災後もボランティアや工事関係者らが多く立ち寄った。
三陸ふるさと振興によると、同道の駅の売上額は20年度以降、1億6000~1億8000万円台だったが、23年度、2億3800万円にはね上がり、25年度まで右肩上がりを続けた。26年度は前年度までは至らなかったものの、2億5700万円と好調な実績を残した。
こうした中、吉浜道路が開通し、気仙の三陸沿岸道は吉浜ICまで北側に延伸。三陸ICは通過点となり、同社の志田俊一総務部長は「『終点効果』がなくなり、来館者数は減るだろう」と見据える。
誘客の対策として本年度はこれまで市内の一部地域のみに配布していたチラシを気仙圏域に拡大。全国の道の駅で進められている電気自動車充電設備の整備や若者に照準を合わせてインターネットの無線LAN設置、トイレ施設の増設など、立ち寄った際の利便性向上にも力を入れていくことにしている。
一方、三陸直売組合(境谷秀夫組合長)でも組合員の間で収益減への不安を募らせる。地元企業と連携し、特産品の商品化や新しい品目の生産に取り組むグループを有志で組織化するなどして販路開拓への動きを強めている。
茶豆の生産、全国出荷を目指し、今夏から始動した「茶まめっ娘(こ)」代表で、同組合副組合長の古水たまさん(62)は「収入を確保するための手段を真剣に考えないといけない。直面する課題を前向きにとらえて、いろんなことにチャレンジしたい」と意欲を語る。