再生と発展へ誓い新た、気仙各市町で新年交賀会

 官公庁や多くの民間事業所で平成28年の仕事始めとなった4日、年頭あいさつの場となる新年交賀会が気仙2市1町でそれぞれ催された。各界からの出席者たちは昨年の復旧・復興の進展を振り返りながら、郷土再生と発展への誓いを新たにした。

 

 復興成就へ機運高める/大船渡市
 
 大船渡市の平成28年新年交賀会(市、大船渡商工会議所、市農協、市水産振興連絡会共催)は大船渡町の大船渡プラザホテルで開かれた。市の復興計画(23〜32年度)が折り返しの年を迎える中、それぞれの立ち場から郷土に尽くすことを誓い合った。

開会に先立ち若貴会による舞踊の披露も=大船渡プラザホテル

開会に先立ち若貴会による舞踊の披露も=大船渡プラザホテル

 443人が出席。開会に先立ち、日本舞踊若柳流「若貴会」の若柳貴嘉さんが「常磐津菊の栄」を披露。震災犠牲者らへの黙とうをささげ、大船渡青年会議所の川原夕輝理事長が開会を告げた。
 戸田公明市長は、復興計画登載の約260事業中7割が完了したことや、まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定など昨年の動きに触れ、「引き続き、内外に山積する多様な課題を克服し、人口減少に一定の歯止めをかけることを最大の施政目標に掲げ、果敢に取り組む」と決意を語った。
 田村誠県議会議長は「国体などの機会をとらえ内外に復興の状況をつぶさに伝えながら、希望郷いわての発展を目指したい」、齊藤俊明大船渡商工会議所会頭は「流動人口をいかに呼び込むかが復興の鍵」とし、今年の夏まつりに日光東照宮の流鏑馬(やぶさめ)や人気女性アイドルグループを招致する考えも明かし、「活力ある大船渡をつくっていこう」と呼びかけた。
 岩脇洋一水産振興連絡会長の発声で高らかに乾杯して和やかに歓談。結びには市民歌に声を合わせ、畑中孝博市議会議長の音頭で万歳を三唱し、一日も早い復興へ尽力することを誓い合った。

 

 着実な進展見据え歓談/陸前高田市

 

 陸前高田市新年交賀会(市、陸前高田商工会など主催)は、高田町のキャピタルホテル1000で開かれた。出席者は住宅再建策をはじめとしたハード事業のさらなる推進とともに、将来を見据えた積極的な挑戦や住民間の見守り充実なども誓い合った。

出席者を魅了した水木さん㊨による祝賀の儀=キャピタルホテル1000

出席者を魅了した水木さん㊨による祝賀の儀=キャピタルホテル1000

 東日本大震災以降ではおととし、昨年に続く開催で、市内各界から202人が出席。主催者を代表し、市コミュニティ推進協議会連合会の村上誠治会長が「目に見える形でハード整備は進んでいるが、心の復興はこれからと言われている。見守りや支え合い、心のケア充実が求められている」と述べた。
 引き続き、戸羽太市長が「強みを生かし、外とのつながりによって復興を加速させ、創造性を持った新しい陸前高田を」と年頭のあいさつ。黄川田徹衆議院議員のメッセージ披露に続き、佐々木茂光県議も早期復興などへの決意を寄せた。
 祝賀の儀では、水木流師範の水木清世歌(きよか)さん(79)=小友町=が常磐津「松島」の一部を披露。華やかな新年の幕開けにふさわしい気品あふれる舞を繰り広げ、盛大な拍手を浴びた。
 伊藤明彦市議会議長の音頭による乾杯後は、立食形式の中であいさつを交わしながら歓談。復旧・復興事業のさらなる推進や地域の安寧、各界関係者の健康保持などへの願いを込めた。

 

 一歩一歩前進する一年に/住田町

 

 住田町の新年交賀会は、世田米のホテルグリーンベル高勘で開かれた。町内の各種団体や事業所、議会などから150人余りが出席。新たな年の訪れを全員で祝い合うとともに、町の発展に向けて一歩一歩前進していく一年になるよう願いを込めた。
 同町の交賀会は、町商工会(千田明夫会長)が主催。町、町自治公民館連絡協議会、大船渡市農協、町婦人団体連絡協議会、気仙地方森林組合、住田ライオンズクラブ、町社会福祉協議会が共催した。

新たな一年の到来に願いを込めて出席者らが乾杯=ホテルグリーンベル高勘

新たな一年の到来に願いを込めて出席者らが乾杯=ホテルグリーンベル高勘

 主催者を代表し、千田会長は国内外の動向を踏まえながらあいさつ。日本人初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹の言葉「一日、生きることは、一歩、進むことでありたい」を挙げ、「きょうよりも明日、明日よりあさって、一歩一歩前進できる年であれば、大きな未来へつながるだろう。時間の許す限り、新年を祝ってほしい」と述べた。
 多田欣一町長、菊池孝町議会議長、佐々木茂光県議らも年頭に当たってあいさつ。多田町長は地方創生や交流人口の拡大、希望郷いわて国体などへの取り組みに意欲を示しながら、「今年が皆さんにとって素晴らしい一年であるよう祈念したい」と語った。
 乾杯後、出席者らは新年のあいさつを交えながら和やかに歓談。最後は全員で万歳三唱を行い、町のさらなる発展と被災地の早期復興を願った。