気仙3市町も人口減進む、県全体で130万人割る/27年国勢調査速報値

 県は平成27年国勢調査による人口・世帯数の速報値をこのほど発表した。東日本大震災後は初めての国勢調査で、県全体の人口は前回の22年調査と比べて5万人余り少ない127万9814人。津波被害を受けた沿岸12市町村は8・3%もの減となっており、気仙は陸前高田市で15・2%減の1万9757人、大船渡市で6・6%減の3万8068人。直接的な被害のなかった住田町でも7・5%減の5723人と、軒並み減少を示しており、厳しい現状が浮き彫りとなった。

 

陸前高田で15%余減に

 

160113-1面・市町村別人口・表 国勢調査は統計法に基づいて実施される人口などに関する全数調査で、大正9年以来5年ごとに実施。結果は福祉施策や災害対策といった各般の計画策定に基礎データとして反映される。このほど公表された速報値は、市町村が取りまとめた27年10月1日時点の人口・世帯数を県が集計したもの。
 本県の人口は戦後、昭和35年に144万8517人のピークを迎えたあと、同60年に143万3611人で2度目のピークを迎えた。
 以後、平成7年に微増となったものの減少傾向が続き、同17年に140万人を割る138万5041人となっている。
 今回調査の速報値は別表の通り。県全体の人口内訳は男61万5576人、女66万4238人。前回調査に続く5万人台の減少で、戦後の臨時調査だった昭和22年以来の120万人台となった。
 一方で世帯数は増加が続いており、今回は49万1725世帯で、前回調査比7791世帯(1・6%)の増加となっている。
 内陸は102万8489人で前回調査比2・6%減、沿岸は25万1325人で同8・3%減。減少幅は内陸で0・6ポイント縮小したのに対し、沿岸では1・4ポイント拡大しており、津波被災が人口減に影響を及ぼしていることをうかがわせる。
 市町村別に見ると、人口が増加したのは北上市、滝沢市、矢巾町の3市町で、ほか30市町村は減少。被災規模の大きい市町村ほど減少率は大きい傾向がみられ、もっとも減ったのは大槌町の23・2%。
 気仙では、陸前高田市の減少率が県内2位の15・2%で2万人を割り込んだ。大船渡市は6・6%減に踏みとどまったものの4万人台を割り、住田町は7・5%減で5000人台となった。世帯数は、大船渡市が前回調査時並みの1万4811世帯、陸前高田市が3・8%減の7487世帯、住田町は1・7%増の2119世帯だった。
 調査は住民票にかかわらない居住実態がもとになるため、災害復旧・復興工事や支援の関係者らも少なからず含まれている。この先「復興需要」が収束していくにつれ、さらに減少が進むものとみられる。
 転出が転入を上回る社会減少と死亡数が出生数を上回る自然減少の双方への対策の必要性が改めて浮き彫りとなっている中、気仙各市町では復興まちづくりとも関連性の高い「まち・ひと・しごと総合戦略」策定などを進めており、その実効性が問われていくこととなりそうだ。