交流発展にも期待寄せ、米大使館首席公使・ハイランド氏ら気仙訪問

▲ 戸田市長らから復興事業にについて聞くハイランド首席公使(右から2人目)=大船渡市役所

 在日米国大使館のジェイソン・P・ハイランド首席公使らが14日、大船渡、陸前高田両市を訪問した。復興の進ちょく状況を視察したほか高校生とも触れ合い、今後も「トモダチ」としての交流発展に期待を寄せた。
 ハイランド首席公使は一昨年に着任。平成7年の阪神・淡路大震災では、被災した米国市民を支援する大使館チームの一員として現地で活動した。

震災遺構のタピック45でも視察=陸前高田

震災遺構のタピック45でも視察=陸前高田

 同日は、在札幌米国総領事館ジョエレン・ゴーグ首席領事らとともに両市役所を表敬訪問し、それぞれ復興事業の現場を視察。米国と交流のある県立高田高校も訪ねた。
 このうち、大船渡市役所では正面入り口に両国国旗を飾って一行を歓迎。戸田公明市長、角田陽介副市長、今野洋二教育長、佐藤高廣統括監らが応対し、懇談も行われた。
 戸田市長は「トモダチ作戦」をはじめとする同国の救援・支援活動に触れ、「物心両面たくさんの支援により、大船渡市民は復興への勇気をいただき、現在まで歩みを進めてきた」と感謝。
 東日本大震災被災地を中心に約3000本のハナミズキを贈る米国国務省と日米交流財団の「友好の木・ハナミズキイニシアチブ」で、同市にも60本が届いていることも話し、「新しいまちのメーンストリートに植樹したいと計画している」と伝えた。
 約30年前に札幌の総領事館に勤め、岩手にもたびたび足を運んでいたというハイランド首席公使。「大船渡とアメリカの友情がさらに強まることを期待する。皆さんの勇気と忍耐、やさしい心を高く評価し感心しており、大船渡の復興についての知識を高めたい」と話した。
 このあと、市側から大船渡駅周辺地区の整備状況について聞き、現場にも足を運んで中心市街地再生に向けた取り組みに理解を深めた。
 陸前高田市役所では戸羽太市長や長谷部智久副市長、伊藤明彦市議会議長らが出迎えた。戸羽市長が米国をはじめ海外からも寄せられ続けている支援に感謝。公使は津波で広田町の六ケ浦漁港から流され、平成25年に米国カリフォルニア州クレセントシティへ漂着した実習艇を話題に上げた。返還後の保存・活用などを聞きながら、高校や自治体レベルでの交流発展に期待を寄せた。
 このほか、高田地区の市街地をはじめ、市内の被災状況について戸羽市長が説明。公使は、高台造成やかさ上げ整備によって新たなまちづくりを目指す復興事業を確認した。
 引き続き、震災遺構として残る高田松原・タピック45から、防潮堤整備などが展開されている海岸線沿いを視察。高田高校では昨年クレセントシティを訪れた生徒たちと語り合いながら交流を深めた。