大型商業施設の概要も説明、中心市街地出店に向けた勉強会で/高田地区

 陸前高田商工会による第9回中心市街地出店に向けた勉強会は14日、陸前高田市高田町の市コミュニティホールで開かれた。高田地区では中心市街地予定地でのかさ上げ整備が進む中、商工会側では換地や借地による立地事業者の顔ぶれが固まる4月に「出店者会」を設立すると説明。市は先月申請した「陸前高田市まちなか再生計画」の概要を示し、平成28年度内の完成を目指す大型商業施設内の店舗数構想などが明らかになった。

 

「みんなのまち」へ情報共有、4月に出店者会設立

 

160115-1図 中心市街地をめぐっては、先月下旬から市による借地募集が始まるなど、造成の進展とともに本設再開に向けた動きが本格化。商工会では、計画内容や今後の進め方について理解を深めてもらおうと勉強会を企画した。
 一昨年秋以来の開催で、出店を計画している事業所関係者ら約60人が出席。冒頭、商工会の伊東孝会長は「問題を一つひとつクリアし、なりわいとする我々をはじめ、みんなが笑顔になれるよう新しいまちづくりへまい進したい」とあいさつした。
 説明は▽再開に向けた今後の取り組み(商工会商工業復興ビジョン推進委中心市街地企画委員長・磐井正篤氏)▽中心市街地の工事状況等(UR都市機構陸前高田復興支援事務所課長・犬童伸広氏)▽まちなかの基本的な考え方、公共施設の配置計画(市都市整備局都市計画課長・阿部勝氏)▽市借地募集、まちなか再生計画(市企画部商工観光課長・村上幸司氏)──の順で行われた。
 このうち、磐井委員長はかさ上げ地への出店希望が百数十件あり、換地や借地によって手続きを進めていると説明。テナント希望は現在関係機関と調整しているとした。
 そのうえで、春ごろには進出事業者の顔ぶれが固まる中、4月に出店者会を発足させる計画を説明。商業以外の公益的な事業所に加え、工期の早い、遅いに関係なく全希望者に案内を出すという。商店街が形成される前から情報共有やまちづくり参画を図り、自主的な意欲と工夫にあふれた商業地を目指す方向性を掲げた。
 被災事業者の再建に関しては高田地区を一組織とし、商店街型のグループ補助制度申請が可能という。今月28日(木)に詳しい説明会を開く予定で、再建を考える事業者はこのタイミングで参加するよう呼びかけ。さらに「まちを少しずつつくることを楽しみ、小さいながらも工夫していきたい。がんばりましょう」と語りかけた。
 まちなか再生計画に関しては、村上課長が先月24日付での申請を報告。今月中の認定を目指し、認定後は大型店舗借地申込者などで構成する組織やまちづくり会社といった事業体が商業施設等復興整備補助金を活用しながら、中心市街地に商業集積の核となる施設を構える。
 土地利用計画自体はかさ上げ整備される約26㌶で、新たな中心市街地予定地全体に及ぶ。この中に商業集積の核となる大型商業施設や商店街を配置。高台への円滑な避難につながる道路ネットワークの整備と合わせ、津波に対する安全性が確保されたコンパクトなまちづくりを描く。
 このうち大型商業施設整備は、個性的な専門店街(A棟)と生活利便商業施設(B棟)が、同一施設内の図書館や大型ドラッグストア(C棟)、近隣商店街などと連携し、新たなにぎわい創出を図る。A、B棟は、事業者が個々のテナントに賃貸する形をとる。賃料はおおむね1カ月あたりの坪単価を3000~5000円程度に抑え、持続性の高い事業環境を提供する。
 両棟いずれも鉄骨造平屋で一体的に整備。高台に位置する本丸公園側に建物を構え、高田松原側が駐車場スペースとなる=別図。
 A棟の建築面積は818坪で整備費は約5・6億円。小売店や本屋、飲食店など15店舗を予定している。B棟は981坪で整備費約6・5億円。食品スーパーや衣料大型店を中心とした5店舗が入る見込みとなっている。
 A棟とB棟は震災前の国道45号沿いにあった「リプル」のような規模を想定。大型商業施設の借地事業者募集は今月下旬からスタート。グループ代表者による受け付けを想定し、年度内には予定借地事業者を決定。建物は今年夏から着工可能となる見込みだ。