4校体制維持を評価、高校再編計画案めぐり気仙ブロック検討会議/大船渡で

▲ 気仙の4校体制維持を評価する声が多く聞かれた検討会議=大船渡地区合庁

 県教委が昨年まとめた「新たな高校再編計画」(平成28〜37年度)案への意見を聞こうという、「今後の県立高校に関する地域検討会議」の気仙ブロックは15日、大船渡市猪川町の県大船渡地区合同庁舎で開かれた。具体的な統合や学級減を盛り込んだ計画前期(28〜32年度)、気仙では学級数を減らしながらも大船渡、大船渡東、高田、住田の4校体制を維持する方針で、出席者からは案を評価する声が多く聞かれた。

 

 平成27年3月の本県の中学校卒業者数は1万2088人。昭和39年のピークに比べ約2万8000人少なく、また、平成37年3月には1万人を割り込む見込み。
 県教委ではこの中、再編の指針となる「今後の高校教育の基本的方向」を改定。これに基づいて昨年12月までに計画案を取りまとめた。具体的な統合や学級減を盛り込む前期(28〜32年度)と、その後の方向性を示す後期(33〜37年度)で構成している。
 この案に対する意見を聞く今回の地域検討会議は、12日の岩手中部ブロック(花巻市、北上市、西和賀町)から始まり、気仙ブロックは県内2番目の開催。戸田公明大船渡市長、菊池満夫陸前高田市理事、横澤孝住田町副町長をはじめ、各市町教育長、商工団体やPTA、地区中学校長会の代表者13人が出席。県教委からは川上圭一教育次長らが臨んだ。
 計画案によると、中学校卒業予定者数が28年度の562人から32年度475人に減少する見込みの気仙は、大船渡で30年度、高田で32年度にそれぞれ普通科1学級を減らし、大船渡東は31年度に機械と電気電子の2学級ある工業学科を再編して1学級とする考え。1学年1学級となっている住田については、「入学者数が2年連続で20人以下となった場合は統合」と位置付け。大船渡の定時制は多部制・単位制の設置や移行について検討するとしている。
 再編計画策定をめぐって過去3回開かれた気仙ブロックの会議では、「進学と就職のいずれにも対応できる」として現行の4校体制維持を求める意見が多く出されていた。
 これを担保する形となった案に対し、同日の出席者から反対意見はなく、「これまでの検討会議の意見がよく反映されている」「地域へ一定の配慮がなされている」「人数の推移を見れば致し方ない」などと評価する声が相次いだ。横澤住田町副町長は「町としての独自支援をはじめ、住田高校存続への努力を続けていきたい」と述べた。
 商工団体の代表者たちは新規高卒者の早期離職が目立っていることに触れ、「実践的なインターンシップが必要と思う」「企業側としても受け入れのあり方を考えたい」などと発言。
 計画後期も視野に「特に震災後は地元に貢献したいという生徒が多い。教育にとどまらず環境を地域総掛かりで考えていきたい」「年ごとの地方創生の取り組み結果を見ながら後期をイメージしてほしい」という声も上がっていた。
 県教委は同日夜に大船渡東高校で住民向けの説明会も開催。2月12日(金)締め切りでパブリックコメントも受け付け、幅広く意見を求めている。