荒れた天気 各地に被害、住民生活に打撃与える/気仙

▲ 大雪などの影響で通行止めとなった県道上有住日頃市線=住田町上有住

 急速に発達した低気圧の影響を受け、気仙地方は18日から19日にかけて大荒れの天気となった。気仙各地で大雨や大雪となり、18日の日降水量は大船渡で81・0㍉、陸前高田で83・0㍉、住田で51・0㍉を記録。沿岸部では風も強く、同日の日最大瞬間風速は大船渡で26・7㍍、陸前高田では22・6㍍を観測した。この天候により、各地で停電や倒木、冠水などの被害が発生。一部道路での通行止めや公共交通機関で乱れが生じるなど、住民生活に打撃を与えた。

 

降水量、風速で記録更新も

 

 気仙地方に大荒れの天気をもたらした低気圧は18日、急速に発達しながら本州の太平洋側に沿って進み、同日夜には三陸沖へ移動。19日には北海道太平洋沿岸に達した。
 盛岡地方気象台は18日午前7時27分、気仙両市に暴風雪警報を発表。同10時34分には両市に波浪、住田町を含む3市町へ大雪の各警報を出した。大雪警報は同日午後10時57分、暴風雪は19日午前4時19分に注意報へ変更。同日午後4時現在、気仙両市で波浪警報のみが継続となっている。
 気仙地方では18日の明け方から雪や雨が降り始め、同日夜遅くまで続いた。同日の日降水量は、1月として陸前高田が1位、大船渡が4位、住田が5位の多さ。19日午後3時現在の降水量は、陸前高田で1・0㍉、住田で2・0㍉。
 大船渡における18日の積雪量は5㌢。内陸部や山沿いではまとまった雪となり、住田町によると、町内の多いところでは40~50㌢の積雪を確認したという。
 沿岸部を中心に強い風にも見舞われ、同気象台によると陸前高田の日最大瞬間風速は1月として1位、年間2位の値を記録。日最大風速8・4㍍は月間2位だった。

 

1497戸で停電発生

 

 暴風雪の影響により、気仙3市町の一部地域では18日から合わせて1497戸が停電した。
 発生時間順にみると、午後5時47分に大船渡市立根町、三陸町吉浜、越喜来の一部地域で1033戸。同8時7分に住田町上有住の一部地域で233戸。同8時21分に陸前高田市矢作町の一部地域で212戸。同9時7分に住田町内の一部地域で19戸。
 東北電力㈱岩手支店は、県内のほか東北の各支店からの応援隊とともに復旧作業を展開。住田町上有住の一部地域は、19日午前6時52分にすべて通電を開始した。ほかの地域は同日午後4時現在、大船渡市の4戸、住田町と陸前高田市の各1戸以外はすべて復旧した。
 停電理由は倒木に伴う高圧線の断線などで、詳細は現在調査中。

 

降雪、冠水で通行止めも

 

 大船渡、陸前高田の両市は18日の暴風雪警報、住田町では大雪警報の発表に合わせ、災害警戒本部を設置。地域住民らに注意を呼びかけ、被害情報の収集に努めた。各市町によると、人的被害はなかったものの、降雪や冠水による道路の通行止め、電話の不通などが生じた。

陸前高田市内では、強風によるものとみられる倒木も=広田町

陸前高田市内では、強風によるものとみられる倒木も=広田町

 大船渡市によると、市内では19日午後3時現在、けが人や大きな物的被害の情報は入っていない。同日も朝から海は非常に波が高い状況が続き、外海に面した漁港では堤防を超えて岸壁まで流れ込むなどし、あらかじめ陸揚げしておいた船のロープを厳重に結び直す漁業者の姿も見られた。
 三陸鉄道南リアス線は、強風の影響で18日午後2時30分から終日、上下線の運転を見合わせ。19日は天気の回復を受け、始発から通常通り運行した。気仙沼BRT営業所によると、BRTは道路環境の悪化により、断続的に15分程度の遅れが出た。
 陸前高田市では18日、広田町字前花貝の市道で降雨により冠水が生じ、午後6時30分から通行止めに。19日午前8時に解除した。
 住田町では、18日午後9時15分に上有住土倉地内の県道釜石住田線で倒木などにより、同40分には県道上有住日頃市線が積雪などの影響で通行止めとなった。釜石住田線は19日正午に大型車を除く通行が可能となったが、上有住日頃市線は同日午後4時現在、復旧の情報は入っていない。同日午前には、上有住字新田地内の町道でも倒木被害を確認した。
 上有住の桧山地域では同日、5世帯の電話が不通に。町によると復旧は20日以降になるという。
 町コミュニティバスは道路の通行止めなどを受け、ルートを一部変更して運行。町内の保育園、小中学校、高校は平常通りの保育、授業を行ったが、一部の児童生徒が雪の影響で欠席や遅刻を余儀なくされた。