気仙トンネル(仮称)が貫通、三陸沿岸道・唐桑高田道路内の706㍍/陸前高田(動画、別写真あり)
平成28年1月23日付 7面

三陸沿岸道路「唐桑高田道路」整備の一環として掘削工事が進められてきた気仙トンネル(仮称)の貫通式は22日、陸前高田市の同トンネル内で行われた。関係者は節目を喜び合うとともに、平成30年度を予定している開通への期待を込めた。
開通予定は30年度
貫通式は、施工している鉄建建設㈱東北支店が主催。工事を発注した国土交通省南三陸国道事務所や県、市関係者ら約100人が集まった。
トンネル内では同事務所の佐藤和徳所長や戸羽太市長、県沿岸広域振興局の菊地一彦副局長による貫通発破セレモニーを催行。関係者による「通り初めの儀」も行われた。
佐藤所長はあいさつで、唐桑高田道路の中でこのトンネル整備は時間を要する工事の一つと明かし「平成30年度中の目標に向けて前に進むことができる」と語った。戸羽市長は「しっかりと復興を進めなければならない中、貫通は大きな一
歩」と祝辞を述べた。
酔仙の酒樽を乗せたみこしの練り歩き、鏡開きで華やかな雰囲気を呼び込んだあと、節目を祝い乾杯。地元の気仙小学校6年生が今泉地区に伝わる伝統の「気仙町けんか七夕太鼓」を披露し、トンネル内に未来への鼓動を響かせた。
唐桑高田道路は、22年に開通した唐桑道路に接続する唐桑北インターチェンジ(仮称、IC)から、26年3月に全線供用を果たした高田道路の陸前高田ICを結ぶ延長10㌔の自動車専用道路。宮城県区間が2㌔、岩手県区間が8㌔となっている。
気仙トンネルは気仙町荒川沢地内から矢作町大嶋部地内の706㍍で、上下各1車線となる。請負金額は税込み約22億9000万円。掘削は同年11月から始まり、1年余で貫通を迎えた。
平均すると1日1・8㍍のペースで掘削。掘削土量は8万立方㍍で、多くは宮城県側の本線道路盛り土に利用したほか、県による高田地区災害復旧事業にも提供し、土砂の有効活用を図った。
標高は気仙沼市側の坑口が34㍍で、気仙川側は26㍍。同市側から気仙トンネルを抜け、約30㍍の高さで現在整備が進む新気仙大橋(仮称)で気仙川を越えると、陸前高田ICにつながる。
唐桑高田道路区間内では、フルインターの長部ICが設けられるほか、緊急連絡路の整備も予定。唐桑北─陸前高田IC間は整備により、現道の国道45号などを走行するよりも5分短縮される。
唐桑高田道路全体の事業比ベースでみた進ちょく率は5割程度で、開通予定は平成30年度。高台部に広域的で災害に強い道路ネットワークが生まれることで安全・安心の確保につながるほか、物流の発展や観光振興にも期待が集まる。トンネルの位置図は別掲。