9人が大人の仲間入り、特別支援学校卒の新成人を仲間ら祝う/大船渡

▲ 料理に舌鼓を打ちながら会話を弾ませる新成人たち=大船渡町

 大船渡市立根町の県立気仙光陵支援学校を卒業し、本年度、大人の仲間入りをした新成人を対象とした「気仙地域成人を祝う会」は23日、同市大船渡町の大船渡温泉で開かれた。家族や仲間、同校教諭らが出席し、20歳の節目を迎えた9人の新たな門出を祝った。

 主催は、赤崎町で就労継続支援B型事業所「@(あっと)かたつむり」を運営する非営利型一般社団法人・かたつむり(吉田定理事長)。「人生に一度しかない節目の喜びを障がい者にも味わってほしい」と、10年ほど前の同法人の前身組織時代から毎年続けてきた行事。震災で中断していたが、一昨年に再開した。
 これまでは主にかたつむりの利用者のみが出席したが、本年度は「学校から巣立った子に一人でも多く参加してもらいたい」との思いを受け、気仙光陵支援学校が協力。気仙の企業や就労継続支援事業所に勤める新成人9人が臨み、家族や学校関係者らを合わせた総出席者数は過去最多の64人となった。
 新成人を一人ひとり紹介したあと、@かたつむりの大西智史所長が「きょうは久しぶりに仲間と話し合い、楽しい時間を過ごしてほしい」とあいさつ。来賓の杉本則子気仙光陵支援学校長が「学校ではいろいろなことに挑戦する姿を見てきた。これからもたくましく地域社会で一歩一歩歩んでいってほしい」と祝いの言葉を述べた。
 乾杯後の祝宴では新成人らが豪華な料理を堪能しながら近況を報告。家族ごとの写真撮影、新成人の生い立ちの写真をまとめたスライドショー上映、記念品贈呈なども行われ、会場は終始にぎやかな雰囲気に包まれた。
 大船渡市内の食品加工場で勤務する鈴木恭平さん(20)=日頃市町=は「それぞれ仕事が忙しくてなかなか会えないので、久しぶりに同級生と会えてうれしい」と笑顔をみせ、「20歳になってもまだまだ半人前。これからも仕事などを頑張っていく」と決意を新たにしていた。
 かたつむりは今後も同行事を開催する方針。「気仙に生まれ、気仙で育った子たち。いつかは各自治体の成人式に参加し、式典後の〝2次会〟的位置づけでこの催しを企画できれば」と構想を描く。