88歳 ミニ傘制作に励む、上有住の水野トモさん/住田

▲ 色や大きさが多彩なミニ傘を作っている水野トモさん=住田町上有住

 住田町上有住の水野トモさん(88)は、昨年末から折り紙などを材料にした「ミニ傘」制作に励んでいる。地域住民から作り方を教わると、「楽しい」とすっかり夢中に。年末から毎日のように作り続け、これまでに大小約100本を手掛けた。飾りを付けたり、大きさの異なる傘を組み合わせた「子連れ傘」を作ったりと自己流にアレンジするのが魅力といい、生きがいの一つにもなっているようだ。

 

細かい作業も「楽しい」、年末から大小約100本に

 

 トモさんは下有住の出身。結婚を機に上有住が生活の地となり、現在は次女・光子(こうこ)さん(66)夫妻と3人で暮らす。キュウリなどを生産する農家であり、春から秋にかけては現役の働き手として野菜づくりやキュウリの選別などを担うという。来月には89歳となる。

 手を動かすのが好きで、例年、農閑期となる冬季には綿入れなどを手縫いしていたという。しかし、今季は体調を崩し、裁縫からは遠ざかっていた。

 そんな中で出合ったのがミニ傘。近所に住む水野カチ子さん(82)が地域のよりあいカフェで教わり、トモさんに作り方を教えた。すると、「面白い」と熱中。作り方をマスターすると傘の大きさを変えてみたり、傘にビーズやリボンを飾り付けたりと自己流のアレンジも楽しむようになった。

 さらに、大きさが異なる傘を組み合わせてリボンでまとめた「子連れ傘」「家族傘」も考案。孫がインターネットの動画サイトで見つけたという「蛇の目傘」の作り方も覚え、その種類を増やしている。

 毎日、日中から夜にかけてミニ傘作りに夢中。「1日で子連れ傘二つぐらいを作るのがやっと。大きい傘より小さいものの方が難しい。色具合がポイントで、目立つ色を一つ入れるのがいいね」と話す。光子さんによると、トモさんは買い物に一緒に行くとかわいらしい折り紙やビーズなどを探し、創作意欲を膨らませているという。

 「心を開き、幸せを呼ぶ」という意味があるという傘。「縁起を担ぐものだから」と完成作品は親戚やご近所さんなどにプレゼントしており、25日に手がけた最新作は、「琴奨菊関の優勝祝いに作ったの。早く孫(子ども)ができるといいね」との願いを込めた家族傘だ。

 春には畑仕事が待っており、ミニ傘作りが生活の中心になるのはあと1カ月程度。「今度はツルを折ってみたい。でも、傘作りの方が楽しいな」とトモさん。もう少し楽しい創作活動が続きそうだ。