遺した和歌 弔いの楽曲に、3月に震災追悼コンサート/陸前高田で

▲ 開催を案内するリーフレット

 陸前高田市高田町の市コミュニティホールで3月8日(火)午後6時から、東日本大震災追悼回向コンサート「聲明(しょうみょう)  海霧讃歎(うみぎりさんだん)」が開かれる。震災で犠牲となった佐藤淳子さん=享年54、気仙町=が生前詠んだ和歌を祈りの言葉とし、弔いの音楽として新たに生み出された楽曲などを披露する予定。入場無料で、来場を広く呼びかけている。

 

聲明「海霧讃歎」、詠人は気仙町の佐藤さん

 

 主催は淳子さんの長男で、フォトジャーナリストの佐藤慧さん(33)。慧さんの父・敏通さん=昨年7月に死去、享年61=は震災直後まで県立高田病院で副院長を務め、住民からの信頼を集めていた。作曲を担った宮内康乃さんも主催に名を連ねる。

 淳子さんは生前に和歌「海霧に とけて我が身も ただよはむ 川面をのぼり 大地をつつみ」を残した。発災5年を迎える中で「和歌が生まれた陸前高田の地で、僧侶たちの聲(こえ)を通して、大地に、空に、人々の心に届けたい」との願いから企画された。

 聲明とは、仏教寺院で僧侶が儀式の際に経典に旋律をつけて唱える声楽を指す。出演は、聲明の二大潮流をなす真言宗・天台宗の指導者が、宗派を越えて19年前に結成した「声明(しょうみょう)の会・千年の聲」。定期公演を基盤に、古典作品の紹介とすぐれた作曲家に委嘱する新作聲明を発表するなど、伝統の奥深さや現代への可能性を日々追求している。

 演目は、唄や散華など両宗派による古典聲明や「海霧讃歎」披露を予定。開演後は慧さんと宮内さんのトークなどもある。エントランスホールでは、慧さんによる写真展も同時開催される。

 慧さんは「気軽に足を運んでいただきたい。皆さんがそれぞれの思いを寄せる場になれば」としている。問い合わせは宮内さん(メール・miyasno@gmail.com)か慧さん(メール・kei.highlife@gmail.com、℡090・7794・7506)へ。