内水排水事業導入の方針、地ノ森(新田)地区の利活用で地権者説明会を開催/大船渡市

▲ 地ノ森地区の内水排水事業検討区域図(大船渡市提供資料より)

被災から5年 検討本格化

 

 大船渡市は大船渡町地ノ森(新田)地区の被災跡地利活用にかかり、4日夜に盛町のシーパル大船渡で地権者らを対象とした説明会を開いた。土地区画整理と津波復興拠点の両事業によるかさ上げなど面的整備が進む大船渡駅周辺地区に隣接し、震災前は県道沿いに多くの商店や事業所が立ち並んでいた同地区。地盤沈下も背景に跡地利活用にあたっては内水排水対策が求められており、市では道路・水路改修のほか、他工事の残土を民地かさ上げに提供する考えも示して出席者から意見を聞いた。

 市では災害危険区域指定を行った沿岸26地区中、防災集団移転促進事業による買い取り地が多い12地区を土地利用方針図見直しと利用実現化方策策定の対象としている。被災によって住民が各地に散らばりコミュニティー活動が薄れている同地区では市の主導で利活用のあり方を打ち出すこととしていた。

 同地区は地盤沈下で高潮や大雨時の冠水が常態化し、事業所再建意向も多く示されながらこれを阻む一因となっており、内水排水対策を施すこととし、第13回復興交付金で予算配分を受けた。

 事業検討区域は県道丸森権現堂線を軸に、おおむね北はファミリーマート店、南はNTTまでの約1・8㌶。すでに丸森権現堂線車道部分が約80㌢、新田都市下水路が約50㌢かさ上げされて復旧されており、市は同下水路につながる小水路2カ所、橋りょう3カ所、市道4カ所にかさ上げなどを施す。県は県道歩道かさ上げを検討している。

 検討区域内の民地は、すでに復旧県道の高さに合わせて自らかさ上げをほどこしたところがある一方、窪地の状態となっているところも少なくなく、現段階の市の見立てでは約0・4㌶。市が今春行ったアンケートでは、面積にしてこのうちの約8割が利用意向を示しているという。

 国の制度上、復興区画整理区域外では民地かさ上げに公費を投じられないため、市は希望があれば他工事の残土を提供することも検討。土を入れる際はならし程度で、建物建築などの際の整地は所有者の負担で行う必要があるとしている。

 

4日夜には地権者らへの説明会が行われた=シーパル大船渡

4日夜には地権者らへの説明会が行われた=シーパル大船渡

説明会はこうした土地の地権者12人が出席。市災害復興局の田中聖一土地利用課長は「国との話し合いを重ねて利活用の絵を書き、お示しすることができた。忌憚(きたん)のない意見をいただきたい」とあいさつ。

 このあと、市土地利用課が検討中の事業概要を説明。建設課、県大船渡土木センター職員らとともに出席者の質問に応じた。

 出席者からは「震災前から冠水に悩まされてきた。解消のチャンスはいましかなく、抜本的対応を望む」「駅周辺は公費でかさ上げするのに、こちらではできないのはなぜか。制度が壁になっているのならば国ともっと協議すべき」と要望が上がっていた。

 市では3月には計画説明会、6月ごろに工事説明会を行ったうえ、夏の着工と28年度内の完了を目指す。これを前に、今月8日(月)から測量調査を行うこととしており、土地の立ち入りなどへの理解と協力を呼びかけている。受託業者は菊池技研コンサルタント。

 問い合わせは市建設課(℡27・3111内線313)または土地利用課(内線353)へ。