愛知ネットの活動一区切り、多岐にわたり気仙を支援(別写真あり)

▲ 大船渡分室の看板を外す愛知ネットの天野理事長、佐々木さん、水野さん(左から)=大船渡市盛町

住民ら謝意示す

 

 東日本大震災後、いち早く気仙に拠点を設けて支援活動を繰り広げてきた愛知県安城市のNPO法人・愛知ネット(天野竹行理事長)。震災から5年の節目に合わせ気仙での活動を一区切りすることとし、8日には大船渡市盛町の大船渡分所の看板を取り外した。同日夜には交流を深めてきた住民たちが市内で感謝の集いも開き、多岐にわたる同法人の取り組みに謝意を示した。

 愛知ネットは東海地方の防災・災害救援に向けた地域の情報化推進、防災意識啓もうなどを目的として平成11年に設立。東日本大震災後に宇宙航空研究開発機構から人工衛星活用の情報網構築支援への協力を打診されたことをきっかけとし、発生後間もなくから住田町に拠点を設けて活動を始めた。

 被災者の心のケアに向けた臨床心理士派遣や避難所での炊き出しなどにはじまり、NPOなどの連携・情報共有の場創出、「奇跡の一本松」保存への参加、気仙地区外からのボランティアのコーディネート活動、愛知県での気仙の特産品販売など、復旧の進展に合わせながら幅広い取り組みを展開。

 このほか、住田町夏まつりや大船渡市の盛町灯ろう七夕まつりの開催も支援し、愛知の企業による気仙での研修実施を後押しするなど、住民同士の交流の橋渡し役も担ってきた。

 盛町では、活動拠点の一つとしてまつり実行委員長の水野公正さん(68)方の離れを「大船渡分室」として提供。8日に天野理事長ら関係者14人が訪れ、水野さんと看板を手掛けた同町の佐々木道博さん(54)とともに看板を取り外した。

 看板は木製。震災があった23年の8月、愛知ネットの支援もあって開催にこぎつけた七夕まつりの後に掲げられた。裏には佐々木さんが「大津波に折れかけた心を温かく支えていただいた皆様ありがとうございます」などと記した。

 水野さんは「まつりは、お盆に先立って祖先を慰める星祭りとして戦時中も絶えなかったと伝わる。震災の年は無理だとあきらめかけもしたが、愛知の皆さんの応援のおかげで実施でき、皆が勇気と希望をもらった。感謝してもしきれない」と語る。

 夜には大船渡町のホテル丸森で、水野さんが実行委員長となって地元有志が「ありがとう!愛知ネットさん」と銘打った感謝の集いを開いた。

 住田町が9日に催す町制施行60周年記念式典では、特別功労者表彰の受賞が決まっており、天野理事長が出席する予定。同理事長は「東北ではいままでにない期間活動させていただき、それぞれの場所や環境で流れる時間の多様性が生まれることを勉強させてもらった。支援する、されるだけでなく、つながりができた皆さんと交流を深め続けていければ」と話していた。