白砂青松へ〝末長く〟、高田松原再生講座/陸前高田

▲ 守る会メンバーが竹すだれづくりを実演=高田町

 マツの植栽・保育活動を担うボランティア育成などを目的とした高田松原再生講座は13日、陸前高田市高田町の市コミュニティホールで開かれた。主催団体の一つ・NPO法人高田松原を守る会(鈴木善久理事長)は、小友町の畑で松の苗木約7000本を育て、一般住民らの手で植えようと地道な活動を重ねている。高田松原で植栽が可能となるのは、来年春以降の見込み。参加者は白砂青松の復活に向け、植栽後における管理の重要性などについて理解を深めた。

熱心な表情で講演に耳を傾ける参加者=同

熱心な表情で講演に耳を傾ける参加者=同

 

管理の大切さに理解

 

 主催は同会と一般財団法人ベターリビング(本部・東京都)、一般財団法人日本緑化センター(同)。3組織協働による事業「ブルー&グリーンプロジェクト」の一環で、昨年2月以来の開催となった。

 今回も高田松原の歴史や文化、環境、地元とのつながりのほか、松原再生に必要な技術や知識を学ぶ場を設け、松原への理解浸透と植樹保育活動のボランティア育成を図ろうと企画。市内外から約60人が訪れた。

 開会行事では、ベターリビングの細井久嗣事業推進部長が「皆さんによる地道な活動が重要。情報を共有しながら、今後につなげたい」とあいさつした。

 鈴木理事長は、高田松原地区で現在整備が進む浸食防止を目的とした海面高3㍍の第一線堤と、津波被害を低減させる同11・5㍍の第二線堤間で来春以降、マツの植栽が可能となる見通しを説明。多くの人々が活動に加わる光景に期待を込めながら「今後どのようなことに気をつけなければならないか学びたい」と述べた。

 引き続き、日本緑化センターの瀧邦夫企画広報部長が、市民による再生活動を報告。昨年春から本格化している小友町内での試験植栽などの取り組みにふれた。

 講演では、日本海岸林学会副会長を務める森林総合研究所東北支所研究監の坂本知己氏が「海岸林再生の技術的な課題」と題して講師を務めた。江戸時代からの整備の歴史や、防災等で果たす機能、復興に向けたあり方などについて、分かりやすく伝えた。

 坂本氏は「東日本大震災は、あまりにも規模が大きすぎた」とした一方、海岸林の津波被害軽減機能として▽漂流物の侵入阻止▽波力を弱める▽その場所に住宅を整備させないといった土地利用の制限──などを挙げた。

 海岸林の整備技術はひと通り確立されている一方、松くい虫被害や過密化、前砂丘の崩壊・移動といった課題を指摘。このうち、過密化が進むと枝の枯れ上がりや細い幹ばかりになるとし、注意を促した。

 さらに積極的な本数調整や1回目の間伐が重要で、間伐時の林冠高の目安は3㍍と説明。「植えただけでは育てられない」「末長く付き合う覚悟を」などと呼びかけた。

 終了後は鈴木理事長が高田松原における震災前の植生について、県立博物館専門学芸員の鈴木まほろ氏が県内の震災後の植生をテーマに講演。休憩をはさみ「強い風からマツ苗を守ろう!高田松原の竹簀づくり」として、守る会メンバーが実演を行った。

 竹すだれは強風から苗木を守り、初期の生育を促すほか、雨水を効率よく地中に浸透させて苗木の乾燥を防ぐ。多くの市民や全国の人々が再生活動に参画するための橋渡し役や、気仙各地に生育している竹資源の有効活用といった面からも期待を集める。

 終始熱心な姿勢を見せていた参加者たち。震災前の美しさを振り返り、将来の白砂青松への思いを膨らませながら、今後控える各種活動への参画意識を高めていた。