身の安全守る一冊に、携帯版の防災マップ一新して全戸に配布/住田町

▲ 冊子化して町内全域の危険区域や避難場所などをまとめた住田町の防災マップ

  住田町はこのほど、防災マップを一新して町内全戸に配布した。新たなマップは冊子タイプの「携帯版」で、町内全域の地図に土砂災害や洪水被害の危険区域、緊急避難場所、避難所などを記載し、災害時の対策、注意点といった情報もまとめた。町民一人ひとりの身の安全を守るための知識、情報が集約された一冊となっており、町ではマップを用いてあらかじめ危険区域や避難場所を確認し、手の届くところに保管するよう呼びかけている。

 

避難場所や危険区域掲載

 

 山々に囲まれ、気仙川や大股川などの河川が流れる住田町。これまでも大雨による土砂災害、洪水、河川の増水といった災害が発生しており、大きな地震、大規模火災が起きる可能性も考えられる。こうした災害から町民の命や財産を守るためには、日ごろからの備えが重要視されている。

 そこで、町は災害の危険区域や緊急時の避難場所などを記した防災マップを作成。平成22年3月に発行した旧防災マップは、世田米、大股、下有住、上有住、五葉の5地区別となっており、該当地区のマップを各戸や自治公民館、消防屯所などに配布し、活用してきた。

 しかし、町民からは「マップが見づらい」「町内全域の情報を知りたい」といった声が寄せられていた。そこで、町は東日本大震災を契機にした防災計画の見直しに伴い、マップのリニューアルも検討。26年度から本格的な作業を進めてきた。

 制作に当たっては、県の地域経営推進費を活用し、地図情報会社の㈱ゼンリン盛岡営業所に委託。避難場所については、各地の自主防災組織や公民館関係者からの意見、提言を踏まえ、新たな個所を追加するなどの見直しを図った。

 新たなマップは、住宅地図上に土石流の危険区域や流域界、急傾斜地危険エリア、洪水時の浸水高、1次避難先となる緊急避難場所、中長期的な2次避難先である避難所、災害弱者が利用できる福祉避難所を掲載。加えて、国の土砂災害防止法が指定する土石流と急傾斜地における警戒、特別警戒の各区域も示した。

 冊子の前半部分には、風水害や地震への対策、洪水ハザード情報の活用方法、大雨時の行動ガイドといった各種知識、情報を紹介。緊急避難場所、避難所、福祉避難所の一覧表や、万が一の際の連絡先、避難場所、健康情報などを書き込めるページも盛り込んだ。背表紙には、町内主要機関の電話番号一覧も収めた。

 マップはB4判の大きさで、オールカラー34㌻。2500冊を作成し、町内の各世帯へ配布した。

 町では「防災マップを手の届くところに保管してもらい、家族で避難場所や危険区域の確認をするとともに防災対策を考えてほしい。防災に関する各種情報も載せているので、目を通して知識も深めてもらえれば」と話し、活用を呼びかけている。

 マップは今後、町内の各公民館や消防屯所などにも配布。年度内には町のホームページにも掲載する予定。町の防災訓練などでも利用していく。