「正念場」の施策展開に決意、戸田市長が所信表明/大船渡市議会3月定例会開会

▲ 新年度施政方針演説を行う戸田市長=大船渡市議会

 大船渡市議会平成28年第1回定例会(3月定例会)は19日開会した。市当局は一般会計で約505億円となる28年度予算案など議案46件を提出。戸田公明市長の新年度施政方針演説も行われ、「復興を着実に前進させ、将来にわたる持続可能なまちづくりを進めるうえでたいへん重要な局面を迎え、まさに正念場の年」との認識で、復興関連をはじめとする各種事業に積極的に取り組んでいくと所信表明した。

 

 施政方針演説に立った戸田市長は、復興計画登載257事業のうち約7割が完了または当初目的達成となり、残るほとんどが進行中という進ちょく、総合計画見直しとまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定といった動きに触れたうえ、総合計画に掲げる七つの大綱に沿った主要施策の方向性について述べた。

 総合計画では、公共事業中心の復興需要から民間主導による実力経済への円滑な移行が、人口減少に一定の歯止めをかけ持続的な発展を図るうえで急務だとして、産業振興を大綱のトップ項目に設定。総合戦略を重点プロジェクトと位置付けた。

 水産業をめぐっては魚食グルメの地域ブランド確立に向けた高付加価値化や6次産業化の取り組み支援、各漁協策定の地域再生営漁計画に基づく活動支援、市魚市場水揚げ増強への漁船誘致などを積極展開する考えを示した。

 農業では経営再開マスタープランの推進による担い手支援やツバキ利活用拡大、林業はバイオマスとしての活用を含む森林資源有効活用などに言及。

 このほか、大船渡駅周辺地区での商業・観光拠点形成、本設への移行が困難な事業者に対する仮設商業施設譲渡、永浜・山口地区工業用地南側への企業立地促進、大学や東北未来創造イニシアティブとの連携、観光ビジョン具現化といった項目に意欲を見せた。

 保健福祉面では結婚から妊娠・出産、子育てに至る切れ目のない支援、地域包括ケアシステム構築に向けた地域助け合い協議会設置、教育・文化・スポーツ面は赤崎、越喜来両小学校と越喜来中学区の年度内供用開始に向けた整備、学校規模や配置にかかる基本計画策定、いわて国体成功に向けた取り組みなどを推進するとした。

 都市環境にかかるものとしては、住民と協働した被災跡地土地利用計画策定と具現化、仮設住宅撤去・集約化計画の推進、移住促進を視野に入れた空き家利活用検討、コンテナ定期航路利用拡大に向けたコンテナラウンドユースの検討、三陸沿岸道路吉浜釜石道路早期完成・全線開通や東北横断自動車道への接続路、復興まちづくりと一体の県道などの整備働きかけ、公共交通の利便向上に向けた検討などを列挙。防災面では市道の永沢線、野々田川口橋線、小川原地区での新設、防災センター建設工事推進などをあげた。

 結びには、「早期復興に向けた動きが一層加速し、本格的に新たなまちづくりに大きく踏み出す重要な一年。市民が将来に夢と希望を抱きながら健康で心豊かに暮らせるまち、一人でも多くの若者や子育て世代などから住みたいまちとして選ばれ、U・I・Jターンの促進が図られるまちの実現に向け、全身全霊、積極果敢に取り組む」と決意を語った。

 同日は千葉雅夫教育委員長による所信表明も。生涯学習推進や児童生徒の学力向上に向けた取り組み、小中学校適正規模・配置の検討や耐震改修実施、国体成功への連携など、施策展開の方向性を示した。

 このあと、市当局が災害復旧工事請負契約変更の専決処分や都市計画マスタープラン策定の4件を報告、新年度各種会計予算案など提出議案46件を説明。任期満了に伴い営林組合議会議員3人、市選管委員と補充員各4人を選んだ。名簿は後日掲載予定。