昔ながらの結婚式も、アリスの不思議な文化祭/住田町(動画、別写真あり)

▲ 古式ゆかしい昔ながらの結婚式が行われた「アリスの不思議な文化祭」=旧下有住小

 住田町の有志らによる第4回「アリスの不思議な文化祭」(実行委員会主催)は21日、旧下有住小学校で開かれた。地域の資源や人の魅力を生かしたさまざまなプログラムを設け、世代を超えた多くの人々が来場。メーンイベントの昔ながらの結婚式では、春に入籍を予定するカップルが古式ゆかしい婚礼儀式に臨み、多くの来場者から祝福を受けた。

 文化祭は、地域を盛り上げる機会にしようと平成24年度から毎年開催。開会式では、町観光協会のPRキャラクター・すみっこが〝一日校長〟として実行委メンバーや参加者らとともに開幕を宣言。引き続き、SUMITA音楽サークル音蔵によるライブが行われ、オープニングを盛り上げた。

 校舎内では、カフェや中上仮設住宅団地コーナー、木工作体験、出張昭和レトロ館・射的、フリーマーケット、テルミー体験の各ブースがスタート。木工作体験のブースでは木の筆箱づくりや町の木いくプロジェクトが手掛けるウッドスタート玩具、学校用机といすの試作品展示が行われ、参加者らはノコギリなどの使い方を教わりながら温かみある筆箱に仕上げた。

 その後は、ミニ映画館や食の部屋もオープン。食の部屋では、町産食材をふんだんに使ったすみたっ子給食の人気メニューやカレー、豚汁などが提供された。また、タブレット端末で文化祭の動画を撮影し、コマーシャル映像を作るCMコンテストも行われた。

 後半には、メーンイベントとなる昔ながらの結婚式を挙行。昭和年代まで見られた、伝統的なしきたりにのっとった式は昨年に続いて企画された。

 今回、新郎新婦役を務めたのは、春に入籍を予定する釜石市職員の植田真治さん(30)=同市=と住田町集落支援員の佐々木敦代さん(30)=同町。羽織袴姿の植田さんと、留め袖に身を包んだ佐々木さんが姿を見せると、来場者らからは「きれいだね」「おめでとう」といった声が寄せられた。

 2人は、仲人やおもらいさま(新郎新婦の両親)役の地域住民らとともに校舎内を練り歩き、住民らが地域の仲間として迎える「迎え酒」を展開。その後、上有住の天嶽謡曲同好会による進行で「三三九度」の杯事を行い、夫婦の契りを交わした。披露宴では、「さんさ時雨」と「外舘甚句」の踊り、住田出身のジャズシンガー・熊谷絵美さんによる歌が華を添えた。

 式には2人の両親も同席し、本番よりひと足早い祝福の場を見守った。植田さんは「いろんな方に祝福していただき、素直にうれしいし、結婚するという実感、責任が芽生えた」と、文化祭の実行委員でもある佐々木さんは「地域の方々に祝福と協力をいただき、ありがたく思う。ここで新婦役を務めるとは、夢にも思っていなかった。地域の伝統がつながるきっかけになれば」と喜んでいた。