底質の経年変化を調査、高田高と東海大が共同研究/広田湾

▲ 採取サンプルをふるいにかける生徒ら=高田高校

 東海大学と県立高田高校海洋システム科の共同研究が23日に同校で始まった。同大が広田湾海底で採取したサンプルを高校生とともに分析していく実験で、高校・大学が継続的な調査・分析を行い、湾内底質の経年変化のデータをまとめていく。

 同大による海底調査は、東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」の一環として震災後の平成24年から始まった。文部科学省の海洋生態系研究開発拠点機能形成事業費補助金制度により実施しており、東海大学は国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同で大船渡湾、広田湾などで震災による海底環境変化、海洋生態系を調査している。

 これまでの調査により、広田湾においては▽津波の影響で水深40㍍付近まで砂質堆積物に覆われている▽気仙川河口付近には砂帯が存在し、この面積は経年的に減少傾向にある▽湾全体に泥質が広がりつつある──などの結果が得られている。調査の過程では、湾内で震災によって流出したものとみられる車両も発見された。

 地元漁協や県への調査結果説明、地元住民に対する講座などを行ってきたが、今回、地域による海洋環境理解のための共同参画型の取り組みが必要として同校生徒を対象とした底質分析を企画。この日は、同大海洋学部海洋地球科学科の坂本泉准教授と学生らが同校を訪問し、海洋システム科海洋科学コースの2年生8人を対象に実験を行った。

 実験では、東海大学が昨年10月に湾内100カ所で採取したサンプルを使用。サンプル100㌘を蒸発皿に取り、恒温機で乾燥させた後、乾燥させたものの重さを計量し、16㍉分の1メッシュのふるいで泥を落とす。再び蒸発皿に戻して乾燥させて計量し、2㍉メッシュのふるいで砂と礫を分けていく。そこから含礫率、含砂率、含泥率を計算。作業を採取別に行っていき、湾内の底質を図で示していく。

 今回の実験では同日と25日の2日間かけて100カ所分の分別作業を行う予定。今後も共同調査で地元湾の底質を調べながら、大学・高校間で分析結果を共有していく。

 同校の増田紬さんは「作業は大変だったけど、この実験を通して震災の影響などを詳しく知りたい。後輩にも継いでいってほしい」と話していた。