住田版総合戦略決まる、町勢振興調査会が答申

▲ 町の人口ビジョン、総合戦略、総合計画の各案について諮問審議を展開=町役場

 住田町勢振興調査会は26日、町役場で開かれた。町から諮問を受けた人口ビジョン、総合戦略、総合計画の各案を協議し、いずれも原案通り承認。委員らからの意見を付帯し、町へ答申した。調査会の答申を受け、町は議会への説明を経たうえで年度内に策定。住田版人口ビジョンと総合戦略に基づき、総合計画と一体になった新たなまちづくりは、平成28年度から本格化する。

 

年度内に策定

 

 町勢振興調査会は、町の振興について必要な事項を調査、審議する町長の諮問機関。平成24年以来の設置となり、学識経験者や町内の特別職、公募委員の18人で構成する。この日の会議には、委員11人をはじめ、多田欣一町長、横澤孝副町長、菊池宏教育長、各課長、担当課職員ら26人が出席した。

 委員への委嘱状交付後、多田町長は「総合戦略や総合計画は作って終わりではない。その過程においても施策の効果を見据え、新たな提言などを受けたり、見直しを加えながら推進していきたい」とあいさつ。会長に教委の多田茂委員長、副会長に気仙地方森林組合の枛木澤光毅組合長を選出後、人口ビジョン、総合戦略、総合計画各案の概要説明と協議を行った。

 町は、国のまち・ひと・しごと創生法に基づき、27年度から5カ年の人口ビジョンと総合戦略、さらに28年度から4年間にわたる総合計画の各案を作成。人口ビジョンでは町の将来展望を、総合戦略ではその政策目標や重要施策を掲げ、総合計画は各重要施策の部門別計画に位置づけている。

 人口ビジョン案では、「ひと・まち・しごとの創出で『住みたい町:すみた』の実現」として、目標人口を「出生率の向上と社会増減ゼロを実現し、2040(平成52)年に4000人」と設定。将来像は「里山で暮らし続けるため、人口が減少しても、基礎的な生活機能が保証され、住民から住みやすい・住み続けたいと思われる『住みたい町:住田』」とした。

 総合戦略の必須到達目標は、「ひと:人口対策」が「Ⅰ子どもの数は小学校2校を維持し、1学年20人、2校で40人を確保」、「まち:生活環境対策」が「Ⅱ生活圏内で必要な買い物等の生活・交通・医療の利便性が図れる環境整備」、「しごと:所得対策」が「Ⅲ町内にいながらできる仕事があり、その仕事で生活できる収入・賃金を確保」としている。

 これらを具体化した数値目標、重要業績評価指標(KPI)では、5年後の31年度に達成を目指す具体的な数値を提示。さらに、目標を達成するための基本方向と重点施策を示している。

 総合計画は、人口ビジョンと総合戦略を受けた部門別計画。部門ごとに現状と課題、目標、達成に向けた施策の方向、事業計画を記載している。

 協議では、委員らが一人ひとり発言。林業や観光、結婚、生活環境、消防団活動といったさまざまな観点から、自らの考えを述べた。

 この中では、「町民が全員参加のつもりでやらなければ。自分ができることが今何かを考えて、みんなが参加できればいい」「人口ビジョンは力を入れて進めてほしい。各施策に枝葉をつけ、より住みやすい町になるよう望む」「〝こうしたい〟と、同じような案が繰り返されているよう。〝今回はこれ〟と決め、一つずつ達成していかなければ同じ状態になるのでは」などの声が寄せられた。個別の施策、事業に対しては、具体性や現実的な目標設定を求める指摘もあった。

 しかし、反対意見はなく、原案通りに答申することを決定。答申書には、委員らから出された意見を付することとした。

 最後に、多田町長は「皆さんからいろんな知恵をいただきながら、今度の計画を一つでも二つでも実現していきたい。このあとも、さまざまな提案をいただきたい」と述べた。

 答申を受け、町は議会への説明を経て、年度内に人口ビジョン、総合戦略、総合計画をそれぞれ策定。実施に当たっては、社会状況などの変化なども踏まえながら定期的に施策を検証。住民代表らによる推進委員会や調査会からの意見も受けながら見直しを図り、目標達成とよりよいまちづくりを目指す。