総合公園あり方検討へ、一般質問初日で市長示す/大船渡市議会

▲ 議員の任期最終となる一般質問がスタート=大船渡市議会

 大船渡市議会3月定例会は2日、通告に基づく一般質問が始まった。4月の改選を控えた最後の一般質問で、この日は光政会の伊藤力也、千葉盛、榊田弘也、新政同友会の鈴木健悦、今野善信の各議員が登壇。猪川町長洞の総合公園予定地について戸田公明市長は、応急仮設住宅集約団地としての位置付けをはじめとする震災後の状況変化を踏まえ、改めてあり方を考えるべく庁内検討を始める方針を示した。

 総合公園は昭和59年に基本計画、平成6年に第2次基本計画、同9年に基本設計をまとめたもので、26㌶中10㌶を造成し、陸上競技場、野球場、テニスコート、体育館などを整備することとしている。平場確保のため65万立方㍍の土砂搬出を要し、このうち35万立方㍍は永浜・山口地区の港湾整備事業個所へ搬出されたが、30万立方㍍の掘削・搬出が残る。

 千葉議員は「2月の全員協議会で市長は予定地へのスポーツ施設整備は難しく被災跡地利活用の中でも考えていきたい旨の発言をしたが、今後の方針をどう考えているか」と質問。

 戸田市長は「集約団地の位置付けとともに、永浜・山口は復興事業による埋め立て予定量が限界となっており、最終的な土砂搬出時期は見通せない状況」と説明。そのうえで「被災跡地活用で各方面からスポーツ施設整備の要望も寄せられており、総合的かつ長期的視野に立った検討を要すると考える」とし、まずは庁内での横断的な検討から始める姿勢を示した。

 トップ登壇の伊藤議員は、まち・ひと・しごと創生総合戦略に則した「ふるさとテレワークモデル実証事業」について取り上げ、「ICT企業の業務誘致を図るとともに、技術者の移住を促進し、新産業として振興を図るとしているが、状況と見通しはどうか」と尋ねた。

 実証事業は総務省によるもの。同市ではNTTコミュニケーションズや富士ソフトなどと共同事業体を組織し、盛中央団地1階の非居住スペースを改修して昨年12月に拠点を開設。先月末まで、首都圏に拠点を置く富士ソフトがサテライトオフィスでのソフトウェア開発、フリーランスの情報関連技術者が仕事をしながら農業体験なども行う「半農半IT」モデル模索、高校生を加えた地域課題解決のワークショップ実施などを展開してきた。

 戸田市長は「これまで1人が移住し、延べ36人が訪れた。サテライトオフィス誘致や鳥獣被害対策のような地方ならではの課題解決の一方策として、技術者招致へ可能性を確認することができた。一方で地元の関連人材確保、受け入れや協働態勢など定着化への課題も明らかになった」とし、引き続き事業体で連携して取り組む考えを示した。

 榊田議員は修正案の取りまとめ作業が行われている市地域防災計画をテーマとし、各家庭の備蓄対策、東日本大震災浸水地域への避難看板の設置予定、児童生徒の登下校中や在校中の避難、今後の避難訓練のあり方などについて確認した。

 このうち避難看板(誘導標識)は73カ所あったうち61カ所で流失や損壊の被害を受けた。鈴木昭浩総務課長は基本的に震災前と同じ場所への設置とし、太陽電池式の照明付きとして全体で既存分含み80カ所ほどに設けるほか、海抜も記した電柱巻き付け式も設置していくと説明。加えて「年度内に48カ所の郵便ポストへの海抜表示シール設置を行うべく郵便局と調整している」と紹介した。

 鈴木議員は、自力再建世帯の移転に対して一律5万円を交付する住宅再建移転補助金を取り上げ「大規模半壊と判定された世帯で、被災住宅を取り壊した場合は助成を受けられるが、修繕して再入居する場合は受けられず、同じ被災規模であるのに差異が生じている」と指摘し、基準を見直す考えはないか当局の見解を質した。

 西山春仁都市整備部長は「大規模半壊世帯は431件で、補修するなどした世帯は約340件と見込まれる。助成は国や県の財源措置を活用しており、交付実績や見込み額、制度のあり方を精査しながら、できる限り支援できるよう検討していく」と述べた。

 今野議員は仮設住宅撤去・集約化計画にかかり「昨年12月で撤去を終えた綾里中でも校庭はいまだ使用できていない。撤去後は速やかに校庭機能を回復させるべきだ」と、当局による対応を求めた。

 校庭では一部を除き7月から撤去を始める計画。戸田市長は「運動場としての本復旧には表土入れ替えの必要がある。内陸部から良質なまさ土を運搬することから3カ月程度要し、小規模な校庭であれば11月後半の使用開始も予想される。工期が冬期間にかかる場合は土の凍結の恐れもあるため、運搬も含めて春以降の着手が避けられない」と述べた。

 今回の一般質問から再質問は一問一答方式となり、登壇議員は項目を絞って掘り下げるなどしながら、それぞれに議論を展開していった。