〝浜の春〟を告げる、イサダ漁がスタート/大船渡(動画あり)

▲ 新しい施設で春漁のイサダを初水揚げ=大船渡市魚市場

魚市場の新上屋で水揚げ

 

 三陸沿岸に〝浜の春〟を告げるイサダ漁が3日にスタートした。大船渡市魚市場では、先月から供用が始まったばかりの南側岸壁上屋を使っての水揚げ。水揚げ量は、前年の初水揚げより6割ほど少ない約90㌧と良い漁況には恵まれなかったが、春漁のスタートで場内は活気づき、関係者らが今後に期待をかけた。

 イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁のエサで流通する。解禁は例年2月下旬から3月上旬の春季で、4月末ごろまで水揚げが行われる。

 今季の解禁日は3月1日だったが、低気圧の影響で海の状態が悪かったため漁を延期。市場の休場をはさみ、2日遅れての初漁となった。

 この日は早朝から28隻が出漁。正午ごろからは、漁を終えた船が次々と同魚市場に入港し、30㌔分ずつのカゴいっぱいに入った桜色のイサダを水揚げしていった。

 水揚げ場所となったのは、先月22日に供用を開始した南側岸壁の上屋。サンマやイサダなどの水揚げ専用施設として整備され、新しい施設に漁業者や市場職員、仲買人らの活気ある声が響いた。

 同日の水揚げ量は、カゴ約3100個分の計94㌧で、前年の水揚げ初日に比べ170㌧ほど少なかった。入札の結果、1㌔当たりの単価は62円から32円30銭で、前年同期より高めの価格帯となった。

 第二十一志和丸の志田惠洋船頭は「例年よりも漁場にイサダがいなかった。これからの漁に期待するしかないが、好転していくかは難しそう」と表情をくもらせる。

 大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「良い漁況でスタートは切れなかったが、今春もイサダの顔を見られたということをこれからの弾みにしたい。イサダも含め、今後すべての漁が豊漁になってくれれば」と話していた。

 今年の太平洋沿岸での漁獲割り当ては、岩手、宮城が前年比1000㌧減の各1万5000㌧、福島が2500㌧、茨城が4200㌧で、計3万6700㌧となっている。