気仙の現状 米で発信、ニューヨークでの震災追悼式に出席へ/酔仙酒造の金野社長

▲ 東北被災地に思いを寄せる式典が今年も開かれる(写真は過去の様子)

 陸前高田市の酔仙酒造㈱の金野連社長(55)が、6日に米国・ニューヨークで行われる東日本大震災追悼式典「TOGETHER FOR 3・11」に出席する。震災から5年を経た気仙の現状とこれまでの歩みをスピーチする予定で、式典には大船渡市の大船渡津波伝承館の齊藤賢治館長(68)もビデオ出演する。

ニューヨークでの式典は、在米の日本人らボランティア有志が企画し、平成24年から毎年開催している。

 5回目となる6日は、最大1000人収容の教会が会場。在ニューヨーク日本国総領事・大使の髙橋礼一郎氏や元総領事で日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」理事長の櫻井本篤氏、ニューヨーク日系ライオンズクラブの名誉会長の伊藤リキ氏らに加え、金野社長がスピーチを行う。

 高田町大石地内に本社や酒蔵を構えていた酔仙酒造。津波で壊滅的被害を受け、その後は岩手銘醸(奥州市前沢区)が支援提供した「玉の春蔵」(一関市千厩町)で再開。24年8月には大船渡市猪川町内に「大船渡蔵」を設け、気仙での再スタートを切った。

 震災後の支援の広がりをきっかけに、26年6月からは純米酒「KIBO」(希望)を製造し、米国に出荷している。

 

金野社長

金野社長

金野社長は、現地で被災当時の会社や地震発生から5年を迎える陸前高田市内の様子を収めた写真を紹介する。「いまだ復旧・復興途上にあるという現状と、それでも我々はここで生きていくんだという思いを伝える。気仙に実際に足を運んでもらう機会にもつながれば」と意欲を語る。

 式典では、岩手、宮城、福島の東北3県の住民らによるビデオ出演も。このうち、齊藤館長は津波襲来時からこれまでの歩みをまとめた7分程度の映像を放映する。

 齊藤館長は「アメリカで震災を忘れずにいてくれる人がいるというのはありがたいこと。海外からの多くの支援を受けて今がある。被災地の感謝の思いを発信したい」と話す。