合足海岸の防潮堤完成、保全施設整備着実に/大船渡

▲ 着工から3年をかけて完成した合足農地海岸の防潮堤。22日には完成式も行われる=赤崎町

 震災で被災し、県が災害復旧工事を進めていた大船渡市赤崎町合足地区の合足農地海岸の防潮堤が完成した。気仙両市で工事が行われている農地海岸4カ所のうち、高さ10㍍を超える海岸保全施設としては復旧第1号。着工から3年がかりで迎えた待望の節目で、22日(火)には現地で完成式も予定。来年度には三陸町吉浜の吉浜農地海岸も完工見込みで、住民の安全・安心を守る海岸保全施設の復旧事業は時間をかけながらも着実に進ちょくしている。

 

高さ10㍍超の復旧 気仙第1号

22日、現地で式典も

 

 合足漁港に臨み、後背地に農地が広がる合足農地海岸は、震災の津波で東京湾平均海面を基準とした高さ9・0㍍の防潮堤が崩壊。県により平成25年3月から復旧工事が進められてきた。

 復旧延長は234㍍、高さは従前より5・1㍍高い14・1㍍で、津波の浸入を防ぐ水門や陸閘(りっこう)は安全確保のため遠隔操作を導入する。

 総事業費は13億2000万円。工事は板谷建設㈱・佐藤建設㈱特定共同企業体が請け負った。

 農地での堤防工事とあって地盤は軟弱で、地盤改良工事も実施。おおむね順調に工事は進み、当初の計画通り本年度中までの完成にこぎ着けた。

 合足海岸復旧にかかる各種業務は、県沿岸広域振興局大船渡農林振興センターに派遣されている長野、香川両県の職員も担当。長野県職員は工事発注前の用地取得や住民説明会などに当たり、香川県職員は工期中の3年間、計11人が携わり、事業進ちょくを後押しした。

 22日の完成式は施工業者が主催し、時間は午後1時30分から。式典では地域住民、市、県の代表者、香川県の派遣職員による銘板設置などが行われ、その後現地見学も予定している。

 県によると、気仙両市では現在、計42カ所で海岸保全施設の復旧工事が進められている。

 このうち、農地海岸は大船渡市の合足、吉浜、沖田、陸前高田市の小友の4カ所。高さ4・5㍍の沖田海岸(延長約200㍍)は25年6月に完成し、このほか工期は吉浜(同595㍍)が28年度末まで、小友(同599㍍)は29年度末までとなっている。

 大船渡農林振興センター農村整備室の十文字康洋農地復旧課長は「地域住民、市、工事関係者の協力をいただき、順調に工事を進めることができありがたかった。今後の地域防災に役立ててもらえれば」と期待を込め、「残る工事中の農地海岸についても一日も早く住民の生活を守ることができるよう努めていく」と気を引き締める。