赤い炎で恵み豊かに、下有住・蕨峠で山焼き/里山を守る会(別写真あり)

▲ 里山を守る会が山菜などの芽吹きを促す山焼きを展開=下有住・蕨峠

 住田町のすみた里山を守る会(紺野昭二会長)は20日、下有住字奥新切地内の蕨峠町有地で山焼きを行った。会員らは山菜などの芽吹きを促すべく、実施区域内に次々と着火。白い煙を立てながら広がっていく赤い炎に、恵み豊かな地となるよう願いを込めた。

 守る会は、平成20年に結成。里山地域の有効活用と環境整備を図るべく、伝統的な山焼き手法の取得や継承、山菜栽培などの振興を目的に活動している。蕨峠町有地の一部を実証区域に、山焼きとワラビの発生状況調査などを展開。5月中旬には観光農園事業として、区域内を一般に開放している。

 山焼き作業は、枯草を焼いて新たな草花や山菜が芽吹きやすい環境を整えるもの。例年3月下旬から4月上旬にかけ、現地の残雪状況や天候を考慮しながら行っている。今年は暖冬の影響で降雪量が少なかったことから、早めに実施したいとこの日を設定した。

 作業には、守る会や町役場農政課の職員ら約10人が参加。分散しておよそ2㌶にわたる実施区域内に入ると、バーナーなどを使って下草に着火した。

 前日の降雨が影響して下草はやや湿っていたものの、風にあおられた炎はみるみるうちに大きくなり、「パチパチ」という音と白い煙を立てながら燃えていった。赤い炎が覆った後には、真っ黒な地面が広がった。この地面には、ワラビの自生が見られるようになるという。

 紺野会長は「今年の冬は降雪量そのものが少なく、雨が多かったので早く焼かなければと実施した。下草が湿って燃えにくかったが、成功したと思う。5月中旬にはワラビの収穫時期になるが、霜が降りないよう願いたい」と話していた。守る会では今年も収穫期に合わせ、観光農園事業の実施を計画している。