「あわびの精(醤油)」で最高賞、野村海産が県コンで/大船渡市

▲ 戸田市長㊨に最高賞である農林水産大臣賞の受賞を報告する野村代表=大船渡市役所

 乾鮑やアワビ、ナマコ、早採りワカメなどの海産品を取り扱う大船渡市三陸町綾里の野村海産㈱(野村誠一代表取締役)がこのほど、県主催の「平成27年度復興シーフードショーIWATE」の中で実施された県水産加工品コンクールにおいて、アワビのキモを使った調味料「あわびの精(醤油)」で最高賞となる農林水産大臣賞を受賞した。29日夕方には野村代表(74)が市役所を訪れ、戸田公明市長へ受賞を報告。市長から称賛と激励を受け、「(商品に)さらに付加価値を付けていきたい」と新たな気持ちで今後の販路拡大を目指すことを誓った。

 

戸田市長へ報告

「さらに付加価値を」

 

 復興シーフードショーIWATEは、東日本大震災による津波で甚大な被害を受け、悲惨な状況や大変な苦労を乗り越え、いち早く復旧・復興を遂げた県内の水産業の姿を広く情報発信するとともに、本格復興を推進するために開催された。

最高賞に輝いた「あわびの精(醤油)」㊨と、同商品をアレンジして作ったドレッシング風味の商品

最高賞に輝いた「あわびの精(醤油)」㊨と、同商品をアレンジして作ったドレッシング風味の商品

 野村海産がエントリーした水産加工品コンクールには、計26社から合わせて107点の商品が出品された。最高賞の農林水産大臣賞1点、同賞に次ぐ水産庁長官賞1点、県知事賞5点、審査員特別賞3点、県民特別賞4点という狭き門を目指し、各社が自慢の商品を振る舞った。

 水産物の素材を十分に生かしたものや、今まで未利用、または低利用の水産物を活用するなど工夫を凝らした商品が次々に披露される中、同社を含む大船渡市内4社の商品合わせて4点が各賞を受賞。同社の農林水産大臣賞をはじめ、鎌田水産㈱の「網元のつくったさんま竜田」と森下水産㈱の「モリーくんのふわっとろサーもん」がそれぞれ県知事賞、㈱五十集屋の「五十集屋すてぃっく」が審査員特別賞に輝いた。

 野村代表は29日、市役所で戸田市長に受賞を報告。「あわびの精(醤油)」に加え、同商品をドレッシング風にアレンジしたものも持参し、実際に市長に見せながら商品誕生のいきさつを説明した。

 「最高のキッピンアワビを作る」「アワビのキモを商品化する」という夢を持っていた野村代表は、全国の大学や企業と共同研究を進めた。その結果、課題となっていた独特の香気を発生させない発酵方法を、盛岡市のしょうゆ店の協力を得て確立することに成功した。

 野村代表によると、需要に応えうるだけの生産量を確保したという同商品。現在、パッケージデザインなどの段取りを進めており、4月中ごろに発売する予定だという。

 夢だった「アワビのキモの商品化」を目前に、戸田市長から「大いに商品がはやるといいですね。おめでとうございます」との激励を受けた野村代表。今後について、「生で食べるのが一番いいが、若い人、内陸の人、都会の人にとっては取っつきにくい。これからもキモを使った商品開発に取り組み、海外などにも販路を広げていけたら」と抱負を述べていた。