「刻まれた歴史」後世に、指定文化財に板碑や津波碑19件追加/陸前高田(別写真あり)
平成28年4月2日付 7面

陸前高田市教委は1日付で、市内にある石碑19件26基を市指定文化財に指定した。気仙町長部地区などにある板碑4件7基と、広田町内にある津波関連碑15件19基が対象。このうち津波関連碑は明治から昭和初期にかけて作成され、犠牲となった住民の供養や高台避難の教えなどが刻まれている。石碑は初めてで、今回の指定により市指定文化財は49件となった。
市教委では市文化財調査委員会(会長・細谷英男市古文書研究会長)からの答申を受け、指定を決めた。市指定は平成21年3月に行った無形民俗文化財の広田御祝い、本宿梯子虎舞、新田梯子虎舞、槻沢梯子虎舞以来となる。
今回指定された板碑の多くは、平安時代から室町時代にかけての中世につくられた。古文書はほとんど残っていない中、存在自体が貴重なものとされる。文化伝承や庶民信仰を明らかにするうえで、重要な考古資料であると認められた。
また、津波関連碑のうち、広田小や長洞、後花貝、泊、中沢、根岬、六ヶ浦、大陽の各碑は、いずれも昭和9年3月に建立。明治29年6月15日の明治三陸大津波襲来を伝えるもので、広田半島の歴史の中で大きな影響をもたらしたことを物語っている。
山田市雄教育長は「津波に関するものは、後世に伝えていくことが重要。今回の指定で震災被害を『忘れない』という意識がより強まることにもつながれば」と話している。
指定された市指定文化財は次の通り。
【板碑】
◆気仙町▽上長部観音堂の板碑群(大日如来種子板碑、普賢菩薩種子板碑)▽要谷の板碑群(大日如来種子板碑、阿弥陀如来種子板碑、阿?如来種子板碑)
◆小友町▽戸隠神社の永徳四年板碑
◆竹駒町▽下壺の勢至菩薩種子板碑
【津波関連碑】
◆広田町▽鶴樹神社の海嘯溺死霊供養塔▽明下の招魂供養塔▽大陽の津波溺死記念碑▽慈恩寺の海嘯招霊碑▽前花貝の津波関連石碑群(大海嘯溺死碑、海嘯溺死霊供養碑、海嘯溺死漂着者)▽広田小津波記念碑▽長洞同▽後花貝同▽泊同▽中沢同▽根岬同▽六ヶ浦同▽大陽同
◆小友町▽華蔵寺の津波関連石碑群(弔海嘯赤痢亡霊、海嘯溺死供養塔、弔海嘯溺死霊)
◆気仙町▽湊の津波記念碑