新たな交流の場に 別荘「越喜来ハウルの船」16日から利用開始、空き家を多目的施設に/大船渡
平成28年4月3日付 3面

大船渡市三陸町越喜来字烏頭地内の岬で16日(土)から、貸し別荘「越喜来ハウルの船」の利用が始まる。地元住民が空き家となっていたアトリエを活用し、宿泊可能な多目的施設として運用。2日にはプレオープンイベントが開かれ、関係者が「新たな交流を生む場に」と期待をかけた。
同施設は40年ほど前に建てられ、東京都出身の画家の故・塚原弥太郎さんや、母の故・安子さんら塚原家がアトリエや住居にしていた場所。2人の死後、家族は三陸を離れていて土地と建物の管理が難しくなったことから、安子さんと交流のあった越喜来地区の片山和一良さん(64)に所有権を譲った。
片山さんは、施設を東日本大震災で甚大な被害を受けた越喜来のまちづくりに活用できないか検討。同市盛町で宿泊施設の「大船渡ゲストハウス」を運営し、さまざまなまちづくり支援を行っている地域商社椿屋の大関輝一代表(41)に運用を委託し、誰でも利用可能な多目的施設として使用していくことを決めた。
施設は鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積は約95平方㍍。海に突き出た岬を船首に見立て、船をイメージして設計されたという。
名前の由来について、片山さんは「ジブリ映画の『ハウルの動く城』に登場する建物を連想した」と語る。
昨年8月ごろから施設オープンの準備を開始。地元内外のボランティアも部屋の清掃などで協力した。

プレオープンでライブを楽しんだ関係者ら=三陸町越喜来
備品は県からの補助を得て購入。会議などで使えるホワイトボードのほか、映画鑑賞やアート活動などに使える大型スクリーン、プロジェクターも用意。冷蔵庫やレンジ、洗濯機のほか、定員12人分のベッドも完備した。
2日は、準備に協力したボランティアらを募ってのプレオープンイベントを開催。バーベキューで団らんを楽しんだほか、同市のバンドの「アクションズ」や「斎藤選手」、東京都の「じゅんや人情」が企画したライブも行われ、新たな交流拠点の誕生を祝福した。
アクションズメンバーの金野正記さん(50)は「ここから見える景色は最高で、今までこんな場所があるなんて知らなかった。内陸など都市部の人たちにも好かれる場所になるのでは」と語る。
大関代表は「外部の人たちが〝すごいな〟と思える場所の一つになると思う。大船渡に人を呼び込むきっかけになれば」と、片山さんも「さまざまな人たちの交流が広がり、地元民にとっても新たな発見の場所になれば。まちの活性化につながってほしい」と願っていた。
日中の利用は、大人(18歳以上)1000円、子ども500円。宿泊(1棟貸し)は、大人6000円、子ども3500円となっている。学生、長期、合宿などの割引もある。
利用の申し込み、問い合わせは大関代表(℡090・7940・6474)へ。