津波復興拠点安心・安全拠点 また一つ、高田幹部交番で開所式/陸前高田
平成28年4月8日付 1面
岩手県警が陸前高田市高田町の津波復興拠点北地区西区内で整備を進めていた大船渡警察署高田幹部交番が完成し、7日に開所式が開かれた。5年前の東日本大震災では、当時交番所長だった高橋俊一氏をはじめ、署員6人が殉職。新たな交番内では、6人の遺影と旧施設に残っていた「旭日章」が見守る。市消防防災センターなどが建ち並ぶ高台拠点に、住民の安心・安全につながる施設がまた一つ誕生し、関係者は早期復興への決意を新たにした。
現市庁舎西側の高台に完成
降雨の中で行われた式典には警察や市、県の各関係者に加え、殉職警察官の遺族ら約50人が出席。掘誠司県警本部長は「市民の皆さんに、より一層の安心感をもたらし、早期復興に貢献できる」などと式辞を述べた。
戸羽太市長、佐々木茂光県議会議員、小向正悟県沿岸広域振興局長が祝辞。大船渡署警察官友の会の宮澤信平会長による記念品贈呈などが行われたあと、髙橋仁署長が謝辞を述べた。
所内では、被災した旧交番の入口にあった「旭日章」を、6人の遺影が掲げられた祭壇に設置。警察のシンボルである旭日章は旧交番では半分が欠けた状態で残った。平成24年9月の「交番お別れ式」に合わせて降納し、以降保管されていた。
静かに手を合わせた三島木達也交番所長は「被災したこの旭日章は、殉職者の魂が宿ったもの。6人の思いをしっかりと引き継ぎ、使命感を持って安心・安全へと尽力したい」と決意を込めた。
旧交番は、市役所や消防署などに近い高田町館の沖地内に位置していた。鉄筋コンクリート2階建てで、昭和58年に完成。以後、地域の防犯拠点として市民らに愛され続け、平成22年度には全国優秀交番にも選ばれた。被災後、仮設交番は23年3月から24年3月までは高田町鳴石地内に、4月以降は竹駒町滝の里地内に設置されていた。
新交番も、鉄筋コンクリート2階建て。延べ床面積は279平方㍍。太陽光発電や災害用備蓄庫などを完備している。建築費は約1億4000万円。交番隣接地には、署員宿舎も設けた。兼務を含め警察官11人が勤務となり、交番内では常時数人が業務にあたる体制で住民生活を支える。
建物は現市役所庁舎西側に位置し、大規模な切土造成が進められた9㌶を超える津波復興拠点高田北地区西区内にある。国道340号や、三陸沿岸道路の陸前高田インターチェンジに近い。
西区全体をみると、市の施設では消防防災センターとコミュニティホールがすでに完成。民間施設ではコンビニエンスストアのセブンイレブン、菓子店の木村屋も営業しているほか、JR大船渡線BRTの陸前高田駅舎もあり、さまざまな機能の集積が進む。さらに県は市内では最大となる301戸分の災害公営住宅建築工事を展開しており、今年夏の完成を目指している。