サル退治に新兵器登場、日頃市で実証実験開始(別写真あり)

▲ 超音波を発する機器でのニホンザルの追い払い実証実験がスタート=大船渡市日頃市町

 大船渡市日頃市町字上鷹生地内で8日、近年、出没が増えているニホンザルによる食害などの抑止へ、超音波による追い払いの実証実験が始まった。同日は現地への機器取り付け作業が行われ、今後は地元住民らが観察を続け、その効果を確認することとしており、〝新兵器〟の活躍に期待を寄せている。

 

県内初導入、超音波機器で追い払い

 

 鷹生ダムに近い山あいの同地域では、2、3年前からニホンザルの群れが人家近くまで姿を見せるようになっている。地元の人たちによると特に秋は頻繁に現れ、昨年は畑のタマネギ、ニンジン、ジャガイモをはじめ、地域内に多くあるカキも食い荒らされたといい、従前からのニホンジカの食害に加えて頭を悩ませている。

 この中で〝新兵器〟として登場したのが、超音波を発生する追い払い機器。

 開発・製造は群馬県高崎市の㈲アンナカ(安中弘社長)で、同社と30年来の付き合いがある㈱菊池技研コンサルタント(菊池透社長)が、市を通じて実証実験の実施を呼びかけたもの。

 機器は「バリアトーン」との名で、縦12㌢、横15㌢、奥行き25㌢の長方形でスピーカーなどを内蔵。重さは約3㌔。

 この日は、安中社長が大船渡を訪れ、菊池技研の菊池喜清会長、地元住民、市、住田町、県の担当部署職員ら十数人が見守る中、五葉山宇賀神社近くの佐藤保さん(73)方の土地に据え付けた。

 バリアトーンは、地震の際などに発生する「AE波」を電子音と一緒に発する。AE波は人間には聞こえない高周波数で、「動物がこれを嫌がることに着目した」と安中社長。「届く範囲は機器から十数㍍だが、遠くまで届く電子音で呼び寄せて聞かせることで、その後は音を聞いただけで寄りつかなくなる」と説明した。県内への設置は初めて。これまでに全国の農家や自治体、ゴルフ場などへの納入実績があるという。

 今後は、サルの出没状況などについて付近の住民や菊池技研がモニタリングを続けることとしており、菊池会長は「サルは賢く、防護網などを容易にかいくぐってしまう。今回の機器は設置や管理も省力化でき、効果が表れることに期待している」と話している。