水稲播種作業始まる 大船渡市農協 5月中に管内農家へ配布/陸前高田で(別写真あり)
平成28年4月9日付 1面

陸前高田市竹駒町字下壺にある大船渡市農協(新沼湧一代表理事組合長)の西部農業センター(紺野勉センター長)で8日、水稲用苗の播種作業が始まった。品種は「ひとめぼれ」を中心とした9種で、今年は約7万6000箱に種をまく計画。育苗後、5月の連休ごろには管内農家へと苗を配布していく。市内の水田で田起こしの風景が徐々に見られるようになった中で、米づくりの第一歩となる播種作業が行われ、農作業のシーズン到来を告げた。
水稲の育苗事業は、米生産農家の労働力軽減、生産コスト低減、均一な健苗供給を目的として毎年この時期に実施。同センター内の播種プラントを使って行われている。
ベルトコンベヤーに乗った縦60㌢、横30㌢の育苗箱に自動で土を入れて灌水し、その上に黄色いモミが次々とまかれていく。
プラントは一日でおよそ1万箱を処理する能力があり、苗床は室温30度の出芽室に運び入れて発芽を促していく。
同センターでは今年、7万5700箱に種まきする計画。品種は「ひとめぼれ」が最も多く、全体の70%以上となる5万5600箱。次いで「たかたのゆめ」が8000箱、「あきたこまち」が7000箱、残りは県のオリジナル水稲品種岩手107号「銀河のしずく」など。
作業開始となったこの日は播種式が開かれ、市農協の菊池司代表理事専務は関係者約20人を前に「米の栽培にとって苗作りは重要であり、力を入れるべき作業個所となっている。苗の良し悪しは出来秋の収穫量にまで影響を与えることになる大きな使命を担っている。育苗管理には細心の注意を払って作業に当たっていただき、喜ばれる立派な苗をお届けして豊作を期待したい」とあいさつした。
初日は8000箱に播種。作業は市農協の子会社・㈱JAおおふなとアグリサービスが担当している。
播種作業は27日までに計10回行われる予定で、発芽したモミは管内4カ所のサブセンターへと運び育苗用ビニールハウス内で育てる。
市農協によると、東日本大震災の津波によって管内農地は460㌶が被災。うち水田は391㌶が被害を受けたものの、27年10月現在で全体の65%が復旧した。
23年の播種量は例年の10万箱から3割ほど減少したが回復傾向にあり、今後、農地復旧が進めば数量も増す見通し。
紺野センター長は「頑張っていい苗を作っていきたい」と話していた。